山形鉄道フラワー長井線
3日目(6月3日)は、米沢駅スタートです。
今回の旅程づくりで最も頭を悩ませたのは、この長井線をどうするかでした。
ただ、あとは私の住む富山へ向かって、信越本線、えちごトキめき鉄道妙高はねうまライン、北陸新幹線、富山地方鉄道と順当に進めていけば、一応今日中に自宅にたどり着くことができますが、午後10時半過ぎとなって、まあ、確実に疲れますね。
では、長井線を1本前、赤湯駅7時44分発にすればいいかというと、そうは問屋が下ろさず、荒砥駅着が8時51分で、折り返しが10時22分発と、結局、同じ行程を踏まなければならなくなり、早起きした分だけ無駄になります。
どうも私の完乗計画に対して、「乗れるものなら乗ってみろ」と挑発するかのようなダイヤとなっていて、しばらく思案に暮れました。
できるだけ早く家に着きたい・・・
そう思って時刻表を眺めると、光明が差し込んできました。
「盲腸線」の終着駅から何らかの交通手段で別の路線へ乗り継いで時間短縮を図るというのは、鉄道ファンの間では常套手段で、「ワープ」とか呼んでいるそうです。
ときには船を使わざるを得ないこともありますが、私にとってなぜかタクシーは控えてしまいます。
いやべつに、法律で禁止されているわけではないですし、むしろそちらを使った方が時間短縮を図れるという面もあるのですが、高い運賃と目的地への直行というのが、どうも引っかかるらしく、面倒でも公共交通機関という縛りがあることで、乗り継ぎのおもしろさを高めてくれるみたいです。
乗り継ぎ手段は人それぞれですが、私はそう思って実践しています。
花柄のイラストが車両全体に散らされていますが、主張の強い色を使っておらず、控え目な印象です。
車内には部活登校と思われる高校生たちがたくさん乗っていました。
沿線に花の名所が多いことから、この愛称が付いたそうです。
南長井駅で高校生たちがどっと降りていきました。
副名が「長井高等学校前」と書いてあったので、ここの生徒さんでしょう。
8時16分、長井駅停車。
案内放送されることなく、しばらく停車したまま、運転士さんがホームで時間待ちしているようでしたので、発車時刻をググると、8時30分と。
外の様子を見たいので、列車から降りてホームへ立ちます。
ホームから見た駅舎です。
長井市中心の有人駅で、本社も構えています。
国鉄時代の名残か、ホームの有効長が長めです。
今では単行か、せいぜい2両ですから、手に余ります。
8時30分に出発した列車は、次のあやめ公園駅でひとりのご老人が降りていきます。
公園までの行き方を聞かれた運転士さんは、ご老人に説明していました。
運転士さんの話ぶりがズーズー弁だったので、地元の人かと思われます。
黒いマルチに穴を空け、1つ1つそっと植えて再び土をやさしくかぶせる。
列車が発車すると、いったん作業をやめ、手を振る人もいました。
魅力的な路線とは、人によって定義が変わってくるでしょう。
ある人は車両の快適性、ある人は車窓からの景色、またある人は利便性・・・
もちろん、魅力的な要素が一つに限定されるというのでもありませんが、しかし、沿線地元の人々が鉄道のために活動をして盛り上げ、ささやかだけど、少しでも乗客を楽しませようとする。
そういった地域に愛される路線こそ、魅力的な鉄道だとしても、ひとつの考え方として良いように思います。
先頭へ行き、前面展望を楽しみます。
だからでしょうか、実際に通ると風格があるように見え、「恐れ入りますが、通させていただきます」と、襟を正させる思いです。
列車はスピードを落としてゆっくりホームへ入線し、8時51分、荒砥駅着。
降りる際、私を「鉄ちゃん」と思ったのでしょう(その通り!)、運転士さんが「このまま赤湯駅まで戻られます?」と尋ねてきた。
「もし戻られるんでしたら、往復のフリーきっぷが安いですよ」と勧めてくれたのだ。
「いえ、次にバスで山形へ行くんです」と私が答えると、「そうでしたか~。戻るんでしたらフリーきっぷの方が安いんですけどね~」と残念そうに言いました。
飯坂線のときもそうだけど、東北の第三セクター路線は、運賃が安くなる方法を提示してくれるなど乗客にとても親切ですね。