西武鉄道西武園線
4両編成の車内は、先頭に行くにしたがって、ガラガラでした。
13時28分に出発した列車は、左へと曲がって西武新宿線と分かれ、ゆっくりとした速度で住宅街を走ります。
そのうち、両側に緑地が現れ、列車はその間を通ります。
左は北山公園といって、これは小規模です。
一方、右の方は八国山緑地で、東西およそ1.9kmにわたって広がる、なだらかな丘陵地帯です。
3分の乗車で、13時31分、終点、西武園駅に到着。
線路の先は高台が立ちはだかり、これ以上の延伸は難しいでしょう。
これで今度こそ、関東地方の鉄道路線は完乗です。
が、まだ午後2時前で、これで終わるのもあっけないので、先ほどチラッと見た八国山緑地へ行ってみることにします。
西入り口広場は、駅から出て3分ぐらいの所にあります。
※公園の地図は、「狭山丘陵の都立公園へきてみて!」から抜粋
サツキとメイの母親が入院している「七国山病院」も、「新山手病院」がモデルです。
距離にしておよそ5.6kmと、4歳児で行けない距離ではないですが、何回か曲がる箇所がありますから、そりゃあ、猫バスに連れていってもらわない限り、やはり無謀な行為です。
物語の舞台はべつにこの周辺だけとは限りませんが、八国山だけ見れば、いかにもトトロが棲んでいそうな気配です。
線路沿いにつたって、ぶらぶらします。
9月らしいといえば9月らしいのですが。
下を見れば、どんぐりがもう落ちています。
まだ緑色ですが、やがて季節が進めば、茶色へと変わっていくのでしょう。
踏切が鳴り、少し待っていると、西武園行きの電車がやってきました。
道端にはいたるところにキノコが生えています。
食用ならとっくに摘まれているでしょうから、たぶん手を出してはいけない類のものでしょう。
ふたつ池の下池に来ましたが、濁っているだけの変哲ない小池です。
少し中へ入り込み、木々の隙間からのぞくと、畑が見え、その先にも森があります。
切り取ったこの風景に限るなら、トトロの風景そのものですね。
「尾根道」と書かれた標識ばかりで、いったい自分がどこへ向かっているのかさえ分からなくなります。
歩いている人は私のほか、誰もいませんから、いくらスマホの地図を携えたとしても、だんだん心細くなります。
戻ればいいだけの話ですが、どうも余計な探究心が芽生えてきて、つい奥へ奥へと進んでしまいます。
そうして、足元はぬかるんだ道に、また巨大なキノコが生え、虫はぶんぶん飛び交い、東京都とは思えないほど自然深い所に来たなという印象です。
気が付けば、ジーパンの裾に土が付いていました。
緑地の北側に来ました。
この境界線沿いに真っ直ぐ進めば出口へと抜けられるそうで、30分も歩き回ったから、もう充分です。
ようやく緑地の森を抜けました。
遠くに見える観覧車は、西武遊園地です。
これでそのまま西武園線に戻るかといえば、そうはしません。
だいぶ疲れてますが、別の駅まで歩いて行きます。(続く)