ゆき丸の鉄道日記

鉄道旅行や雑記を綴ります。

富山地方鉄道本線

12月20日(木)から、富山地方鉄道線の鉄道線、路面電車、路線バスの全線が7日間乗り放題の「年末年始ふり~きっぷ」が発売されました。




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富山地方鉄道ホームページより  

鉄道好きの私にとって、これ以上の福音はありません。

さっそくこれを使って、出掛けようと思います。









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12月21日(金)、やってきたのはJR富山駅前です。

地鉄線が発着する電鉄富山駅は、JR富山駅に隣接しています。

電鉄富山駅の窓口で、件のきっぷを購入しました。







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「ふり~きっぷ」は、日付をコイン等で削るスクラッチ式です。

それと、特急に乗るため、自動券売機で特別急行券(210円)も手に入れておきます。





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私が乗る電車は、15時4分発の特急、宇奈月温泉行です。

出発10分前に改札が始まりました。







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2番線に停車しているのが、私が乗る電車です。

他の電車と同じ「顔」が並んでいるため、誤乗が起きそうです。。。







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車内座席は、基本的に2人がけ転換クロスシートが並びます。

古い車両だけど、座り心地は柔らかく、これなら長時間乗車しても疲れないでしょう。

ただし、有料のためなのか、乗客数は少なく、地元の利用者は普通列車の方に流れていきます。

ガラガラの車内で出発を待っていると、後ろの方から、「ボックス(席)空いてるよ!」との声が。

若い女性グループが入ってきて、座席に荷物を置くと、ホームに立っている男性にお願いをして、車両との記念写真を撮っていました。

車内に戻って写り具合を確認すると、「え、きれーい」「あの人プロのカメラマン?」と、写真を撮ってくれた男性に感謝の言葉を並べていました。

ホームに立って一眼レフを下げている人なぞ、九割九分は私と同じ趣味世界の住人だろうと思われますが、女性たちの黄色い感想を聞くにつけ、「撮り鉄冥利に尽きる」でしょう。







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発車ベルが鳴り終え、定刻通りに出発です。

「すごいね」「いいね」と女性たちは、地鉄線の走りっぷりに期待を寄せています。

話している言葉から、東京方面から来た観光客でしょう。

このぶんだと、上市駅ではさらに面白い反応を示すかもしれません。







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稲荷町駅で不二越・上滝線と分かれ、間に扇のように広がる車両基地を見ます。

ちょうど反対列車とすれ違いましたが、元西武レッドアロー号を改造した「アルプスエキスプレス」でした。

しばらくは住宅街を走ります。







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越中三郷駅を過ぎると、常願寺川を渡り、目の前には雪をかぶった立山連峰が広がります。

「うわ、すごーいきれい」と女性たち。

ガタンガタンゴトン、ガタンガタンゴトンと、リズミカルに走るのに合わせ、「と・や・ま♪と・や・ま♪」と口ずさむ愉快っぷりです。

少し騒ぎ過ぎたのに気付いたのか、後ろに座っているおばあちゃんに「すみません」と言うと、「いいえ、楽しそうでなにより」と怒るどころか、賑やかな雰囲気に好意的のようでした。

「みなさん、これから観光?」とおばあちゃんが訊ねると、「はい、そうです」と女性たち。

都会の人たちにとっては、こうして地元の人と触れ合えるだけでも、嬉しいものです。








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寺田駅に停車しました。

立山線と分岐した後に、また扇状の構内が広がります。

先ほどの稲荷町駅でもそうですが、地鉄線の乗り換え駅では、こういう扇状になっているのが特徴的ですね。

有料列車なのに、下校中の高校生2人が乗ってきました。

それで、次の越中泉駅を通過した時、普通列車ではないことに気付いたらしく、「どうしよう」とお互いに考え込んでしまいました。






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上市駅に到着し、誤乗してしまった高校生たちと、女性観光客グループと話したおばあちゃんは降りて行きました。

高校生たちは、また電鉄富山方面の普通電車に乗って戻るのでしょう。






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15時28分、上市駅を逆方向に出発すると、予想通り「え?なになに、どういうこと?」と戸惑った様子でしたが、すぐに手持ちの地図を見て状況を理解したらしく、「そういうことなの?」と一応納得した様子でした。

電車は北へ向かって、ひた走ります。







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西滑川、中滑川、滑川と3駅も滑川が続き、「たくさん『なめ』てるね~」とノリノリで話す女性たち。

なるほど、そう捉えるのか・・・、と感心しつつ、あいの風とやま鉄道としばらく並走します。







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早月川を渡ると、左手に大きな観覧車が見えてきました。

ミラージュランドの大観覧車で、日本海側では一番大きいとか。

しかし、冬の間は休園中です。

その観覧車の手前には、魚津水族館も見えてきます。







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角川を渡り、住宅街に入ると、地鉄線唯一の高架駅、電鉄魚津駅です。

今は新しく簡素化された駅舎ですが、以前は4階建ての電鉄魚津ステーションデパートを構えていました。

私は一度だけその旧駅舎に入ったことがあるのですが、ステーションデパートとは名ばかりで、薄暗く空きスペースが目立ち、清掃も行き届いていない廃墟同然のようでした。

まさに戦後昭和を象徴したような趣でしたが、地元の人によれば、往時の駅前にはたくさんの人で大変賑わい、ああいうデパートができたのも自然の成り行きだと言います。

魚津の中心地は、現在の魚津駅前よりこちらの方がふさわしかったのですが、今では歩く人が少なく、駅下の道路には車が行き交うのみで、商店街もシャッター街化してしまいました。








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新魚津駅を出発し、あいの風とやま鉄道と分かれると、左側に富山湾がチラッと見えました。

(たぶん)海に最も近い経田駅(きょうでんえき)を過ぎ、片貝川と布施川の河口付近を渡ると、黒部市に入ります。







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電鉄石田駅の先で北から東に向きを変え、あいの風とやま鉄道の線路を越えて、電鉄黒部駅に到着です。

地鉄線には、こういう古くて一種の旅情さえ醸し出している駅が多いですね。

留置線に延びる車庫も、粗末な小屋のようです。







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銀盤酒造の工場をかすめ、電車は田んぼ地帯を突き進みます。

男子高校生が自転車で下校しており、そういえば終業式であることを思い出しました。

巨大な新幹線の高架下を通り、新黒部駅です。

そばで、おっちゃんが当車両に向けて写真を撮っていました。







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折立駅から先は、いよいよ山間部に差し掛かります。

扇状地のちょうど扇頂部分に、赤い橋「愛本橋」が見えました。







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黒部川に沿うようになると、俄かに杉並木やトンネルが多くなってきます。

険しい道のりをゆっくり登り進むといった感じです。







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最後のトンネルを抜けると、温泉街が見え、16時20分、終点の宇奈月温泉駅に到着です。







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改札口前には、ホテルの迎えの人が何人か立っていていました。

あの女性グループもその中に入っているのでしょう。






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黒部峡谷鉄道が冬期休業に入ったから、駅前は寂しい雰囲気が漂っています。

温泉街なので、まったく観光客がいないわけではありませんが、季節観光地の弱点を見せられた思いです。





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宇奈月温泉に来た目的は、はっきり言って何もありません。

なんにも用事がないのに、ただ鉄道に乗る、例の「阿房列車」ですが、とりあえず、和菓子店に入って、どら焼きとお茶をいただきました。

ついでに、店のおばちゃんから足湯の場所を聞き、そこに浸かって帰ろうと思いました。







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足湯はお店の裏側にありました。

足湯に浸かろうかとも思いましたが、せっかくの機会ゆえ、むしろ施設内の温泉に入ろうと考え直し、勢い余って入ってしまいました。

タオルは持ってきてあるので、入浴料のみの500円を支払い、2階へ。

泉温は少し熱めだけど、広々とした浴場はなかなか気持ちよかったです。

「ふり~きっぷ」を持っている間、また行こうかなと思いました。






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外に出ると、もうすっかり暗くなっていました。

やっぱり寂しい雰囲気だけど、駅前で数人の観光客の話し声が聞こえると、完全に寂れてはいないことにホッとした気持ちになるのでした。