ゆき丸の鉄道日記

鉄道旅行や雑記を綴ります。

わたらせ渓谷鐡道1(桐生~神戸)

明けましておめでとうございます。

2019年もどうぞよろしくお願いします。




さて、12月27日(木)から越年して1月4日(金)まで、埼玉の実家に帰っておりました。

その間、いろいろな所に行ってきたので、その記録を書き留めたいと思います。






12月27日(木)。

富山から実家の埼玉までは北陸新幹線で行けばすぐに着いてしまいますが、せっかくの機会、どこかに寄り道してから帰ろうと思いました。

それで時刻表を開き、どこへ行こうかと思案した末、久しぶりにわたらせ渓谷鐡道に乗ることに決めました。

というのも、当ブログには北関東地方の記事が非常に少なく、栃木県にいたっては1つも載せていない惨状だからです。

そのうえ、わたらせ渓谷鐡道に以前乗車した時はそのまま終点の間藤駅まで乗り通し、そこからバスで日光まで行ってしまったため、途中下車すらしていません。

それゆえ、2回目以降は気になる駅に降りて周辺を散策・観光したいと思います。








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午前10時前、桐生駅がスタートです。

実際は9時半に着き、桐生織物記念館に行ったのですが、2階の展示室が10時にならないと開かなかったため、断念して戻ってきたのであります。

初っ端から出鼻をくじくことになり、この先どうも嫌な予感しかしません。。。








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今回は3駅に降り、かつ往復するつもりなので、自動券売機で1日フリーきっぷ(1850円)を買い求めました。

階段を上って、1番線に停車中の10時5分発、間藤行きの普通列車に乗車です。

乗客数は10人弱で、地元の人のほか、私のような観光客、家族連れがいました。







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わたらせ渓谷鐡道は、群馬県桐生駅と栃木県の間藤駅を結ぶ全長44.1kmの第三セクター路線です。

国鉄足尾線を引き継いで、1989年(平成元年)3月に開業しました。

沿線風景を大ざっぱに言うなら、大間々までは住宅街で、その先は渡良瀬川に沿う渓谷が続きます。

その渓谷美も年末だけあって、木々がすっかり枯れ果てた寂しいものとなりました。

しかし、葉っぱがことごとく落ちてくれたおかげで、視界を遮るものが少なくなり、川が見えやすい利点もあります。

一方、車内では大間々からアテンダントさんと乗務員の男性の2人が乗車し、お土産の販売とかをしていました。







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渡良瀬川というと、明治期の足尾銅山による鉱毒事件が思い出され、ずいぶん汚らしい川というイメージがあります。

ですが、実際見てみると、そんな悲惨な出来事があったのかと驚くほど、底まで透き通った清流です。

そんな清流を、このディーゼル車は大したスピードも出さずにトコトコとのんびり走るものですから、渓谷美をたっぷり味わえるわけです。







10時43分、水沼駅に到着しました。

付設する温泉施設は休業です。

私は4つ先の神戸駅(ごうどえき)に降りて、やはり付設する食堂でお昼ご飯を食べる予定なのですが、もしや休業しているのでは?

事前にホームページでも確認しましたが、「月曜定休」とあるだけで、そのほか特記事項はなく、たぶん大丈夫だろうと思ってました。

11時5分、神戸駅に着き、ホームに降り立ちました。






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ところが、けしからぬことに、レストラン「清流」は恐れていた年末休業で閉まっていました。

うーむむ、舞茸ごはん定食食べたかったのですが、どうしようもありません。

しかもアテンダントさん情報では、星野富弘美術館も休みで、要するに施設類はすべて休業ということでした。







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私が乗ってきた列車はまだホームに停まっていましたが、降りてしまった手前、再び乗るのもなんだか格好がつきません。

桐生駅で手に入れた沿線マップを開き、神戸駅周辺でほかに食べる場所がないか見てみましたが、悲しいかな、食堂が見当たりませんでした。

やはり今日は旅のXデーのようで、下手をすれば昼飯抜きになりかねません。

しかし、降りた以上、せめてどこか1カ所でも観光していきたいもの。

年末休業もしない所とは、畢竟(ひっきょう)、年中無休と言っても過言ではありません。








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それで、駅から歩くこと15分、最初のスポットはここ。

旧線の廃トンネル「琴平トンネル」です。

旧線はこの先の草木ダムによる線路付け替えで、廃線となりましたが、現在は遊歩道に整備されています。

廃線探訪やハイキングに適していますね。







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しかし、1つ気がかりなのは、近くに猿がいることです。

先ほど駅前でも「ギャー、ギャー」という声が聞こえましたが、はじめは子どもの鳴き声なのかと訝しく思いました。

それがまさかの猿だったとは露知らず、しかし、近くに日光があり、そこに棲む奴等がこちらへ移動してきたり縄をはったりしてもおかしくありません。

何匹かいるようで、そのうちの1匹がこちらに向かってじーっと睨んでいました。

ひょっとしたら、トンネル内にも猿がいるのかもしれません。

なにしろ私は静岡の山奥の廃トンネルで、コウモリに飛び交われたことがありましたから、おそるおそるトンネルの入り口まで行くと、なんてことはない、出口が見える短いもので、猿はどこにもいませんでした。
※のちに猿の注意書きを見つけ、そこには「猿を睨まないこと」とありました。








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トンネルを抜けた後、こんどは洞門です。

打ち捨てられた建造物の趣で、幅といい、やはり鉄道らしいものです。





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廃線辿りはここまでにして、わらべ橋を渡り、不動滝を目指します。

冬でもじゅうぶん見応えはあります。

東運動公園を無理矢理突っ切って道路に出ると集落が現れ、さらに上ると「童謡ふるさと館」がありますが、こちらも冬期休業中です。







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やっと不動滝にお目にかかれました。

落差25mで、今日はまだ温かいものの、冷え込めば上から下まで氷柱がはるそうです。

紅葉の季節であれば言うまでもありませんが、余計な葉っぱが無いぶん、はっきりと滝の姿が見られるのはいいですね。

もっとも、滝以外には見るべきものはなく、列車の時間もあって、5分ほど見た後、早々に戻ってしまいました。







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廃線トンネルでまた猿に出くわすのは嫌なので、帰りは普通の道路にします。

どうってことない田舎の風景ですが、穏やかな雰囲気に包まれて好もしく映ります。







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そうそう、「琴平トンネル」の手前には、旧線の橋梁跡が残っています。

廃線になったからといって、全てがなくなるわけではなく、部分的には残っていたりするものなんですね。

宮脇俊三の『失われた鉄道を求めて』には、鉄道考古学なる分野を立ち上げようという話があって、廃線跡を見つける法則の第1条に「橋梁に注目せよ」とありましたが、あとが続かず、鉄道考古学はすっかり形無しになってしまいました。







駅前でまた猿たちに遭遇しましたが、こんどは無視して駅のホームに入りました。

12時29分発、間藤行きの列車に乗車です。(続く)