ゆき丸の鉄道日記

鉄道旅行や雑記を綴ります。

わたらせ渓谷鐡道3(足尾銅山)

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13時33分、通洞駅で降りた私は、もうお腹と背中がくっつきそうなぐらい腹が空いたので、昼食をとりに行きます。







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でもその前に、駅前の「ますや」という肉屋のコロッケが有名らしく、ぜひ一度賞味しようと思いました。

店名の看板がなく、本当にここでいいのか?と少し迷いましたが、窓越しから肉が並んでいるのが見え、間違いないと確信して中へ入りました。

コロッケはごくごく普通の牛肉入りで、衣はサックリ、じゃがいもはほくほくと甘みのある味。

懐かしく優しい味で、1枚をペロッと平らげました。

おばあちゃんによれば、この店は開業してから100年も経つ老舗。

100年前と言えば、ちょうど足尾線(現:わたらせ渓谷鐡道)が開通した頃ですから、往時の賑わいを知っているのかもしれませんね。

上には有名人のサイン入り色紙が並び、最近ではお笑い芸人の陣内智則がテレビロケで訪ねてきたのだとか。

そういえば、大間々駅でも大きなカメラ等の機材を持った男性を見ましたが、わたらせ渓谷鐡道もしばしばマスコミに取り上げられているんですね。







「ますや」を出て、足尾銅山とは反対方向に歩くこと5分、喫茶店風のお店に入り、ランチを取ります。

私は山菜ピラフを注文したのですが、出てきたのはピラフのほか、味噌汁、揚げ出し豆腐、きゅうりの浅漬け、ほうれん草のおひたし、かにかま、がんも煮など、たくさんのおかずまで付いてきました。

もちろん完食です。

奥のテーブル席では、地元の人々が集まって、談笑を交わしていました。








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帰りの列車(15時17分)まで残り1時間。

足尾銅山観光所に入ります。

ちょっと前まで坑内の一部箇所で工事をしており、たぶん半分ぐらいしか見学できないだろうと思っていたら、もう工事は終わったらしく、全部の箇所を見学することができました。






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資料館へは15分毎に出ているトロッコに乗ります。

先頭に機関車、それに客車2両を連結していますが、客車にはなぜか運転制御器のようなものが付いていました。

天井が低く、頭をぶつけないよう注意しなければなりません。

私の後ろの席の若い男性がさっそく被害に遭いました。

私を含めて5人の客を乗せ、14時30分に出発です。






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ロッコはまず急な坂をゆっくりゆっくり下ります。

進行方向左側には渡良瀬川が流れていますが、川の様子を見ることはできません。





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坂を下り終わると、駅らしい所でいったん停車しますが、まだ降りることができません。

ここで先頭の機関車を切り離すのです。

残された客車はどうするかというと、運転士が客車の運転席に座り、あの制御機器を操作し始めました。

すると、客車はひとりでにゆっくりと動き出すではありませんか。






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坂を下っていた時とは打って変わって、客車はぐんぐんスピードを上げていきます。

遮断機のない踏切を渡り、そのまま坑内へと突き進みます。







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線路脇には坑夫の模型が見え、それを過ぎると降車場に着きます。





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降車場のホームは一面一線で天井が低いです。

順路は一方通行で、戻ることができません。

ロッコは私達を置いて、元来た道へと戻っていきました。






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線路の先は柵で通れないようになっています。

約400年間にわたり掘り開いた坑道の長さは1234km。

これは東京から博多までの長さに相当します。







ホーム中央部に順路のトンネルが続き、そちらに入っていきます。

上から水が滴れ落ちてきて、濡れること必至です。

展示は江戸時代、明治・大正時代、昭和時代と続き、時代が下るにつれ、坑夫の持った道具が機械化されていきます。

採掘した鉱石の運搬は、江戸時代は手押し車でしたが、近代以降は鉄道(トロッコ)を敷いて効率よく運び出しました。

鉱石を載せたトロッコは選鉱所へと運び出され、さらに製錬所で銅などを抽出していたそうです。

トンネル内とはいえ、夏は蒸し暑く、冬は寒かったのでしょうね。







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坑道から外に出ると、削岩機の体験ができます。

スイッチを入れると、ガガガガガとけたたましい音を鳴り響かせます。

こうやって削岩機で少し掘ってから、ダイナマイトを奥に入れ、爆発させて開削を進めたそうです。








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先ほど乗ったトロッコ列車がまた坑道へと入っていきました。

平日なので、お客さんは少なめです。






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トロッコ列車になぜわざわざ機関車を連結させていたのかと言えば、レールの間にもう1本ギザギザしたレールを敷き、そこに機関車の歯車と噛み合わせることで、安全に上り下りができるからです。

アプト式」と呼ばれるもので、9月に乗った大井川鐡道井川線と同じですね。

このトロッコは時刻表には載っておらず、したがって私の完乗旅行から外れていますが、走り方とか銅山の歴史とかの面で、なかなかおもしろい乗り物だなと思いました。

あとはお土産屋で「とちの実せんべい」を買って、駅に戻ります。






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15時17分発、桐生行きの上り列車に乗ります。

残念ながら観光向きではないロングシート車でしたが、行きの時にさんざん景色を見たので、気に障ることではありません。

家族連れの中の女の子が先頭に立って、ひたすら前面展望の写真を撮っていました。

鉄道ファンかどうかは分かりませんでしたが、ファンにかかわらず、風光明媚な所を走るローカル線の景色はあまねく人を惹きつけるのでしょう。

16時26分、相老駅で降ります。





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ここから徒歩10分ほどの所に「桐生明治館」がありますが、次に乗る東武線が17時4分といささか中途半端な時間ですから、今回はよしておきます。

これでわたらせ渓谷鐡道の旅はおしまいです。

乗り通すのとは違って、やはり駅から降りてみると、いろんな発見があるものですね。

のみならず、新たに行ってみたい所も生まれ、再訪するきっかけもできました。

鉄道旅行に終わりはありませんね。






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午後5時近くになり、一気に暗くなり始めました。

同時にホームに飾られたイルミネーションが点灯します。

この辺りは冬になると上州の空っ風が吹き、空気が乾燥しますから、明かりがくっきりと見えますね。

いよいよ年末が近づいてきたなという感じを抱きました。(続く)