水戸線
お盆で埼玉の実家に帰省し、せっかくの機会、青春18きっぷを使ってどこか鉄道の旅に出たかったのですが、なかなか意欲が湧いてきませんでした。
理由は色々あって、まずお盆というシーズンゆえ、どこへ行っても混雑は避けられないということ。
このことは前回の記事にも書いたように、富山から埼玉へと逆方向で、かつ在来線でさえ通勤ラッシュ時並みの混雑を経験したわけですから、相当の覚悟が必要です。
加えて、暑さもさることながら、台風10号接近による湿った風の影響で、いつ夕立が来てもおかしくない程の天候不順だったため、これまた外出する気を削がれる。
場合によっては「運休」なんて目に遭いそうですから、それならばいっそのこと家に居た方が賢明だという判断が働きます。
そういうわけで、実家に帰省した次の日(8月12日)はひたすら家でゆっくりとくつろぎ、夕方から高校・大学の友人とその親父さんが来て、私の家族と共に食卓を囲んで飲み食いして過ごしました。
翌日の8月13日(水)。
ついに重い腰を上げて駅に向かいました。
これは「乗りたい」という気持ちというよりは、「残り4回分もある青春18きっぷをどうにかして使い切りたい」という貧乏性から来るもので、鉄道ファン歴=年齢と思うほど長く鉄道に親しんできた身としては、初めての気持ちです。
で、目的となる乗車路線は、水戸線という知名度としては高くないローカル線です。
浦和駅で11時ちょうどの宇都宮線の快速列車に乗ろうとホームで待っていたら、駅員による放送が流れ、さいたま新都心駅で線路に人立ち入りがあったというけしからぬ事態が。
この影響で浦和駅を通る全列車がストップするということになりました。
首都圏に来るたびに、ロシアンルーレットの如く、毎日どこかで遅れや運転見合わせが発生しているのを見ると、(すべて鉄道会社が悪いわけではないものの)はたして日本の鉄道は世界一時間に正確だという神話は本当なのかと疑いたくなります。
結局、11時ちょうどに発車するはずの快速列車は15分遅れで浦和駅を発ち、さらに大宮駅で5分延びて小山駅には20分遅れの12時7分に到着。
12時3分発の水戸線を逃してしまいました。
次の列車は13時3分とおよそ50分時間が空いたため、改札を出て駅ナカの日高屋に入ってラーメンんと餃子で腹ごしらえ。
安い値段の割に美味いのは、さすが庶民の味方です。
昼食を終え、再び改札口を通って15番線ホームへと下りて行く。
すでに5両編成の電車が停まっていて、車内へも入れました。
やはりシーズン中ということもあって、出発時にはほぼ満席、立ち客もいるほどの賑わいっぷりでした。
路線としては水戸駅に届かないのに「水戸線」という妙な路線ですが、元々は水戸駅に到達した最初の路線であることからこの名前が付けられ、後から常磐線が開通して結果的に支線のような扱いになったという経緯があります。
実際の運用では1日に何本か水戸駅(あるいはそれ以降に)直通しています。
小山駅を出発してすぐに、電化の直流方式から交流方式に切り替えるための「デッドセクション」が設けられ、以前の国鉄型車両ではその区間に入ると車内照明が落とされて暗くなったのですが、新型車両ではそうした光景はなくなっています。
「鬼が怒る」という厳めしい名前に反して、のっぺりとした穏やかな川ですね。
しかし、2015年(平成27年)9月の豪雨によって、常総市で堤防が数カ所決壊し、大規模な洪水を引き起こしたというのですから、油断はできません。
この日も順調に入道雲が育っていることから、再び増水しないか心配になります。
下館駅までは田んぼが広がる平坦な所を走ります。
真岡鉄道と関東鉄道常総線の乗り換え駅である下館で乗客が入れ替わります。
下館駅から先はなだからな丘陵地帯の間を縫うように走ります。
もっさりとした緑が多く、夏らしさを感じます。
その一方で、やはり単調な景色が続き、心地良い揺れと相まって、眠りへと誘ってくれます。
眠りに貪欲な私は当然抗えず、岩瀬から福原にかけて意識が飛んでしまいました。
小山駅から1時間5分の乗車で、14時8分、終点の友部駅に到着。
小ぢんまりとした駅です。
ここで14時14分発の常磐線上野行き普通列車に乗り換えます。
水戸線のゆっくりとした速度とは対照的に、常磐線内は普通列車でもガンガン飛ばし、最高が130kmと特急並みのスピードです。
国鉄型車両より軽いのですから、これで地震や踏切内車の立ち往生とかで脱線が起こらないか心配になります。
我孫子駅で下車します。
この駅と言えば。。。
駅そばの弥生軒。
ここの唐揚げそばは、どでかい唐揚げが「でん!」と鎮座しており、食べ応え満載。
お腹いっぱいになりました。
ところで、ここの店員さんはアジア系の人で、慣れない日本語でお客さんに一生懸命応対していました。
「ごちそうさま」と挨拶し、お店をあとにしました。(続く)