大井川鐡道井川線(千頭~井川)
千頭駅9時12分発、井川行きの列車に乗り換えです。
前から客車5両に機関車、さらにその後ろに3両と機関車の計10両編成と、ローカル線としてはかなり長い。
紅葉シーズンかつ土曜日ですからね。
ただし、後ろ寄りの客車3両と機関車は途中の接岨峡温泉駅で切り離されます。
私は前から3両目に入りました。
私が車内に入った時はまだ混んでおらず、進行方向右側の窓側席に座ることができましたが、あとからおばちゃん達のグループが来て、席が左側と右側に分断してしまったので、席を譲ることにしました。
閑蔵駅までは1度景色を見ているので、残念な気持ちにはなりません。
幸い、まだ空席はありましたが、中年男性との相席です。
井川行きの列車は定刻通り出発。
すっきりとした青空が広がり、しかも気温が暖かいものですから、窓を開けても風が気持ち良い。
9時51分、アプトいちしろ駅でちょっと下車。
楓が見事に赤く染まっていました。
ここから次の長島ダム駅までは最大90‰(パーミル)という日本の鉄道最急勾配が控えているため、後ろにアプト式の電気機関車を連結します。
私は前回連結の様子を見たので、今回はパス。
代わりに柏餅を買いました。
お腹空いていなかったのですが、こういうおやつを見るとつい手を伸ばしたくなるんですよね。
ま、ちょっとでも地元にお金を落とすということで。
作りたてなのかあつあつで、餅はやや固め、餡は甘さ控えめといったところ。
ボリュームがあるので、1個食べただけでお腹がふくれました。
さて、景色を見遣ると、90‰の勾配に差し掛かりました。
座っている分には分かりづらいですけど、後ろの方を見ると、上っている感じが分かります。
キャンプ場にはこの日、利用している人達がいました。
去年9月に来た時は誰もおらず、寂しいキャンプ場だなと思いましたが、シーズンであればやっぱり来るんですね。
このキャンプ場の下流側すぐの所に旧線の「ミステリートンネル」があり、去年スマホのライトだけを頼りに通ったらひどい目に遭ったことはいい思い出です(笑)
長島ダムです。
ここも昨年「しぶき橋」という吊橋を通り、水しぶきで多少濡れました。
10時3分、長島ダム駅で4分停車。
その間に電気機関車が切り離されます。
それと、「先ほどのアプトいちしろ駅で財布を落とした人はいませんかー」と呼び掛ける声が聞こえました。
柏餅とかを販売していたおばちゃんが車でわざわざ追いかけてきてくれたみたいで、私なのかとズボンのポケットに手を入れて確認しましたが、無事にありました。
結局、誰もいなかったみたいで、列車はそのまま出発しました。
奥大井湖上駅で半分以上の乗客が降りて行きました。
ホーム前にもたくさんの観光客がいて、すっかり人気の秘境駅になりました。
一応陸地から半島のように突き出てはいるものの、周囲に民家がない駅で、テレビや雑誌等で頻繁に取り上げられるほどの人気スポットですからね。
車内はだいぶすっきりしました。
接岨峡温泉で後ろ3両の客車と機関車を切り離し。
周りは森しかない秘境駅の尾盛でなぜか1人下車。
日本一高い橋を渡り、列車は川根本町から静岡市(政令指定都市!)へ。
閑蔵駅に停車し、反対列車との待ち合わせです。
前回はここで折り返しました。
この「あと5キロ」が昨年達成できず悔しい思いをしたけど、いよいよリベンジできる瞬間がやってきたって感じです。
9時41分、閑蔵駅を出発。
いよいよ初乗車区間です。
20ものトンネルがあり、景色はあまり見れないといった印象です。
この区間のハイライトが奥泉ダム。
長島ダムに比べれば規模は圧倒的に小さいです。
ダムよりも山の景色がすごい。
ずいぶん高い所まで来て、なにか空中散歩してる気分になります。
反対側には重機が何台か留置されており、網や法面が妙に新しい。
ここが崩土の現場だったのでしょうか。
10時59分、井川駅終着です。
線路はホームの少し先で終わりです。
井川駅では線路が2方向に分岐していて、1つは先ほどホームの少し先で行き止まり。
もう1つトンネルの方に線路が延びているのは、かつて堂平方面に貨物列車が通っていた跡です。
ダムの資材を運搬していたそうで、もう20年以上使われていません。
一応休止扱いということですが、事実上の廃線ですね。
これで大井川鐡道は正真正銘の完乗を果たしました。
11時28分発の折り返し列車で戻りますが、せっかくなので駅前を少し散策しましょう。(続く)