エピローグ(上田電鉄別所線)
別所温泉駅の待合室で16時39分発、上田行きの電車を待ちます。
ベンチに座っていると、目の前に折り紙で作った赤い千曲川鉄橋が飾ってあり、上田電鉄のシンボルなんだと改め感じました。
程なく、事務室から和服姿の若い女性が出てきて、改札の案内をしてくれました。
当駅に駅員は、観光協会の方が兼務されているようです。
今度のも元東急の車両ですが、中間車を先頭車用に改造されています。
外装は真田家家紋「六文銭」をあしらっており、「さなだどりーむ号」と呼ばれています。
車内は行きの時と大きく変わった点はありませんが、座席の色が違っているぐらいでしょうか。
2両編成の車内に数名の乗客を乗せて、ゆっくり出発。
和服姿の女性駅員さんが手を振って見送ってくれました。
だいぶ日が傾いてきたものの、山の輪郭がくっきりと見えるほど綺麗に見えます。
電車は急な下り坂をのんびりと走り、換気のために開いている窓から涼しい風が入ってきます。
下之郷駅手前の留置線に、丸窓の付いた電車「まるまどりーむ号」が見られました。
ちょうど下校時刻と重なっていたので、多くの学生が乗ってくるのかなと思いきや、さほど乗ってこず、ロングシートに空席がぽつぽつ見られるなど、混雑に至ることはありませんでいた。
渡ればほんの僅かな時間だけど、利用客にとっては便利でありがたいですね。
17時10分、上田駅に到着。
新幹線ホームに移動。
17時29分発、「あさま」619号に乗車。
長野駅で「かがやき」511号に乗り継ぎ。
1年半前、別所線と同じく被害を受けた長野新幹線車両センターには、車両が1本も留まっていませんでした。
上田電鉄別所線の復旧後の乗車を果たし、別所温泉街で美味しいものを食べ、温泉に入り、古刹を観光し、桜も見られて、お土産も手に入れた。
たくさんの素敵なことに触れられ、幸せな旅行でした。(終わり)