川本三郎『「男はつらいよ」を旅する』を読んで
正直、映画「男はつらいよ」が、ここまで鉄道が出てくるとは思いませんでした。
この本は主に「男はつらいよ」のロケ地を、著者が実際に訪ねたというもの。
ロケ地が津々浦々なだけに、これを実行できるのは(文芸+鉄道+まち歩き)愛を持つ著者しかいないだろう。
映画に出てくる鉄道やまちを重ね合わせながら、「失われた日本」の風景を描き出していく。
以下、心に残ったことを(私の好きな「鉄道」の視点から)記します。
①沖縄県の鉄道
②京成電車文化圏
③廃線の「動態保存」
④観光地化されていない
北海道霧多布、青森県の轟(とどろき)、福島県会津柳津、茨城県牛久沼、長野県奈良井、兵庫県たつの市、岡山県津山市、島根県温泉津、大分県湯平温泉、宮崎県油津など。ネットが発達していない時代だけに、よく見つけたと思う。「外れもの」の寅に観光地は似合わないだろう。
本書を読むことで、新しい旅の面白さを味わえそうだ。