ゆき丸の鉄道日記

鉄道旅行や雑記を綴ります。

川本三郎『「男はつらいよ」を旅する』を読んで

正直、映画「男はつらいよ」が、ここまで鉄道が出てくるとは思いませんでした。

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この本は主に「男はつらいよ」のロケ地を、著者が実際に訪ねたというもの。

ロケ地が津々浦々なだけに、これを実行できるのは(文芸+鉄道+まち歩き)愛を持つ著者しかいないだろう。

映画に出てくる鉄道やまちを重ね合わせながら、「失われた日本」の風景を描き出していく。

以下、心に残ったことを(私の好きな「鉄道」の視点から)記します。

沖縄県の鉄道
 2003年に沖縄都市モノレールゆいレール」が開業するまで、鉄道は無いと思っていたが、実は戦前に3本の軽便鉄道が走っていた。あの宮脇俊三も長い間、走っていなかったと思い込んでいたとか。

京成電車文化圏
 「男はつらいよ」は、上野、柴又、金町、京成関屋駅(どこだ?)など京成線沿線が多い。東京の中でもマイナーだからこそ、片田舎を演出できる。

廃線の「動態保存」
 胆振線標津線くりはら田園鉄道筑波鉄道新潟交通、尾小屋鉄道、京福電鉄など、今では決して見られない鉄道が映画に出てくる。廃線マニアにはたまらない(と思う)。まさに鉄道が「動態保存」されている。

④観光地化されていない
 北海道霧多布、青森県の轟(とどろき)、福島県会津柳津茨城県牛久沼、長野県奈良井、兵庫県たつの市岡山県津山市島根県温泉津、大分県湯平温泉、宮崎県油津など。ネットが発達していない時代だけに、よく見つけたと思う。「外れもの」の寅に観光地は似合わないだろう。


本書を読むことで、新しい旅の面白さを味わえそうだ。