ゆき丸の鉄道日記

鉄道旅行や雑記を綴ります。

三江線(2017年3月26日乗車)

いよいよ来月末にJR西日本三江線の廃止が迫ってきました。

今回は昨年の3月26日に乗車したものをエントリーしたいと思います。

今さら!?な感じですが、廃止されれば三江線からの車窓は永遠に見られなくなりますから、限りある写真と私のおぼろげな記憶を頼りに、記録に起こしてみます。




駅前のビジネスホテルを5時30分前に出た私は、まずは食料を確保すべく、10分程歩いたところのローソンで菓子パンとサンドウィッチを購入。

辺りは静けさが漂っていて、西の空はまだ暗闇に包まれていましたが、東の空にはかすかな明かりが現れました。

枕草子「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく、山際すこし明かりて紫立ちたる雲の細くたなびきたる。」のような風景でした。

江津駅に行き、改札口上の電光掲示板で三江線の発車時刻を確認します。

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5時53分発で三江線の始発列車です。

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私が乗る列車の次は途中の浜原行き12時34分で、7時間近くありません。

三江線の終点三次行きにいたっては、さらにその後の15時15分と9時間以上開く有様で、まさに超がつく過疎路線ですね。

三江線沿線の観光パンフレットもありましたが、う~ん・・・三江線を利用して周るのは難しいと思われます。

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跨線橋を渡って、3番のりばに2両編成の三江線三次行き普通列車が停まっていました。

1番のりばに5時47分発浜田方面からの山陰本線の列車が到着して、乗り換え客も入ってきました。

その中に、中学生か高校生の剣道部と思われるグループが、引率の先生とともに乗ってきて、車内は瞬く間に賑やかになりました。

あまりにうるさいと、顧問の先生から「静かにしろ!」と怒られていました。
(しかし、すぐに元通りになるのはお約束ですが・・・)




5時53分、ディーゼルエンジンを鳴らした列車がゆっくり江津駅を発車し、進行方向右(東南)へとカーブしていきます。

左手には中国地方最大の一級河川江の川」が広がり、これから終点までの108.1km、およそ3時間半、こののっぺりとした川と付き合うことになります。



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最初の停車駅、江津本町駅は、名前に反して古い家がポツンと建っている以外は何もない無人駅。

列車は所々25kmの制限速度を受けて、のろのろと走ります。

三江線沿いの家々は昔から続く木造住宅が点在しており、一方、対岸の国道261号線沿いには新しい住宅やコンビニが見えます。

廃線後はバスに転換されるそうで、より人口の多そうな国道261号線を走ることになるでしょう。

因原駅手前にはドラックストア「ウェルネス薬局」が見え、少し開けてきました。

そして、石見川本駅

島根県川本町の中心地で、駅前はちょっとしたビルや商店がありました。

その後も江の川沿いに進んでいき、7時42分、粕淵駅で先ほどの学生グループが降りていきました。

おそらく、対外試合なのでしょうが、それにしても春休みに部活があるとは、子供も、そして顧問の先生も大変だなぁと思います。

しかも、三江線は超がつくほどの過疎路線ですから、早朝に出発せざるを得ないことを考えると、なおのことです。

廃線後はバスを利用するのか分かりませんが、もしバスなら基本的に鉄道より時間がかかるため、より不便を強いられます。

現在、学校の部活が教員の長時間労働を引き起こしていますし、子供の方でも休みがないから疲れが溜まっていることを考えると、本来休みの日に対外試合をしなくしてもいいと思いますが。
(ただし平日に行うと公欠扱いで授業を休むことになり、それはそれで問題ですが・・・)

それはともかく、粕淵駅前は住宅がひしめき合っていて、下車した人が結構多かったのが印象的です。

むしろ、運行上の要となる次の浜原駅の方が寂れていました。

三次方面からの一部の列車が浜原駅で折り返しますが、粕淵駅まで延長してくれれば、もうちょっと便利になる気がします。

やがて対向列車がやってきて、こちらはガラガラの車内に対して、あちらはギチギチでした。




さて、浜原駅から口羽駅までは1975年開通と比較的新しく、今まで速度制限を受けていたのが、時速85kmにまで開放されます。

といっても、それは一部で半分近くはやっぱりノロノロ運転です。

踏切が少なく、トンネルの多い区間です。

県境のため、沿線人口はさらに少なくなります。


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石見都賀駅のホームにはちょっとした花が彩を添えてくれています。

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三江線のハイライトは、この宇都井駅ですね。

地上20mの高さを誇り、「天空の駅」と呼ばれるのにふさわしいです。

ホームには写真を撮る人々がたくさんいました。

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宇都井駅を出発してトンネルを抜けると、江の川を渡ります。

この後も何回かこの川を渡りました。




口羽駅からは旧三江南線の区間で再び速度制限を受けます。

そして、尾関山駅に入ると、そこは広島県三次市街地。

一気に開けた感じです。

尾関山駅手前には、駅名にもなっている尾関山公園があり、春は桜、秋は紅葉の名所として人気です。

市街地を高架で進んで、やがて進行方向右手から芸備線が近づき、9時21分、終点の三次駅に到着。

この列車は折り返し10時2分発石見川本行きとなります。

乗るのに適した時間のこともあって、ホームにはたくさんの観光客が待っていました。

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