ゆき丸の鉄道日記

鉄道旅行や雑記を綴ります。

宗谷本線1(旭川~名寄)

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旭川駅の中の土産屋でまんじゅうを2つ買った後、11時30分発の快速なよろ1号で、名寄駅まで行きます。



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エスカレーターで上がった所に、たった1両のディーゼル車が停まっていました。

まだ出発15分前ということもあってか、車内はガラガラでしたが、10分前になると続々と乗客が入ってきました。




11時30分に旭川駅を出発した列車は、しばらく旭川市街地を高架で走り、旭川四条駅の先で地上に降ります。

新旭川駅を通過し、右手に上川・遠軽・北見方面に行く石北本線と分かれ、さらに進むと右手に旭川運転所という車両基地が見えてきます。

ここは電化区間の日本最北端かつ最東端です。

電車だけでなく、ディーゼル車、機関車、そして古びた客車と、様々な車両たちが留置され、車両好きには見ていて愉快な気持ちになると思います。



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一方、左手に目を転じると、北旭川駅という貨物ターミナルがあり、こちらは機関車と貨車が留置されていました。

タマネギなどの野菜や米、砂糖、乳製品などが発送され、また到着貨物では、宅配便などの積合せや紙、液化天然ガスなどを扱っているそうです。

両側のヤードを抜け、さらに進んだ先の永山駅で、とくに若い人を中心に降りていきました。



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上川盆地の平坦なところを快走します。

石狩川を渡り、蘭留駅を過ぎると、列車はいよいよ塩狩峠に差し掛かります。


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民家がない山の中を走っていきますが、トンネルはありません。

塩狩」という名前は、旧石狩国と旧天塩国からそれぞれ一文字ずつ取られたことから来ています。

標高263mとそれほど高い峠ではありませんが、ここは決して忘れてはならない悲しい事故が起きた所でもあります。




1909年(明治42年)2月28日の夜、名寄駅を出発した汽車が塩狩峠の頂上付近で最後尾の客車の連結部分が外れ、逆走するということが起こりました。

このままでは脱線して、乗客に大惨事が起きかねない。。。

旭川の教会へ行く用事で乗り合わせていた、当時、鉄道院(国鉄の前身)旭川鉄道運輸事務所庶務主任の長野政雄は、デッキ上のハンドブレーキを操作して暴走する客車の停止を試みるも、床下に転落し、客車の下敷きになって亡くなったという。

暴走した客車は無事に停止し、乗客は1人もけが人や犠牲者がいなかったそうです。

この長野政雄がどのような経緯で床下に転落したのか分かっていませんが、3つの説が挙げられており、

①自殺説
ハンドブレーキのミスによる事故説
③キリスト信者として覚悟の上での投身説

があります。

ちなみに三浦綾子の小説『塩狩峠』では、③の説をとっています。

鉄道員として職務を果たさなければならない使命を負ったのか、キリスト信者として「自己犠牲としての愛」(アガペー)を貫こうとしたのか、はたまた両方なのか・・・、分かりませんが、とにかく鉄道事故によって1人が犠牲になったことは受け止めなければなりません。




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塩狩峠の頂上から下っていった先に、塩狩駅があります。

事故当時、駅はありませんでしたが、現在は駅近くに殉職した長野政雄の顕彰碑と、塩狩峠記念館(三浦綾子の旧宅)が立っています。

今乗っている1両ディーゼル車は、当時に比べれば、らくらく峠を上り下りできるようになり、輸送安全が向上したことにありがたい思いをもちます。



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和寒駅(わっさむえき)を過ぎると、名寄盆地に入り、再び平坦な所を走ります。

退屈な景色が続いて、少し眠ってしまいましたが、列車は剣淵駅、士別駅、風連駅と順調に進み、12時52分、この列車の終点、名寄駅に到着しました。




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名寄駅は宗谷本線のほか、かつて興部(おこっぺ)・紋別遠軽方面へ向かう名寄本線と、幌加内を経て深川へ行く深名線が走っていましたが、どちらも1989年5月、1995年9月にそれぞれ廃止されました。

それらの区間は、現在、バスが担っています。


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名寄駅は「名寄オフレールステーション」という貨物も取り扱っています。

といって、貨物列車が輸送を担うのではなく、トラックで輸送しています。




私は駅前の食堂でジンギスカン定食を食べ、ちょろっと駅周辺をぶらついた後、重い荷物をずっと引っ張ってきたためか眠くなってきて、駅の待合室でうたた寝をしました。

それから少したって目を覚まし、14時30分発、稚内行き特急列車の改札が5分前に始まり、ホームへと入りました。




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2番線には稚内方面から来た列車が停車し、3番線の旭川行き快速列車に乗り換えるお客さんもちらほらいました。



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ぽっかりと浮かぶわた雲が、次々と南東の方へ流れていきました。

温かく乾いた風がホームに吹き込んで、これから天気が急変するとは思えないほどでしたが、北の方を見ると、黒い雲がちらっと見えるのが気にかかりました。(続く)