ゆき丸の鉄道日記

鉄道旅行や雑記を綴ります。

根室本線2(東鹿越~新得:代行バス)

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バスに乗ろうとすると、運転士さんが「お客さん、ちょっと待っててね」と言って、バスから降りていきました。

運転士さんはバスのトランクルームを開け、「荷物こちらへどうぞ」と案内してくれました。

「ありがとうございます。新得駅までお願いします」と言うと、「分かりましたよ。駅に着いたら、また声をかけてください。私もいろいろとしなければいけないことがあるので」と、優しくも忘れないようにくぎを刺してくれました。

私はボストンバッグだけを持って車内に入り、運転士さんに「北海道フリーパス」を見せ、真ん中の左側窓側の席に座りました。

代行バスなので、JRの乗車券を持っていれば利用できるのです。

先ほどの列車内と乗客数は変わらず、定刻通り12時5分に、バスは東鹿越駅を出発しました。




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最初の踏切を渡る所から線路を眺めると、今でも十分走れそうな気がしましたが、並行する道路から線路を見ると、台風によってなぎ倒された樹木や土砂が覆いかぶさり、まるで打ち捨てられたかのような姿でした。

この先の橋も流失したそうで、仮に復旧に着手したとしても相当の費用と時間を要するとのこと。

こんなことなら、もっと早く乗っておけば良かったと、後悔の念が沸き起こってきます。



やがて、民家がポツポツと姿を現し、さらにある程度まとまった住宅街や商店、郵便局などに入り、12時15分、幾寅駅着。


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1999年の映画『鉄道員』(ぽっぽや)のロケ地で、木造駅舎に映画上の駅名「幌舞(ほろまい)駅」の看板が取り付けられています。

また、駅前には、だるま食堂と気動車「キハ40 764号」が静態保存されています。 

幌舞線(架空の路線)の廃線と共に(正確には廃線前に)、老年の駅長、佐藤乙松が呼び笛をくわえながらホーム上で亡くなるシーンが印象に残っていますが、まさかリアル世界でも、いよいよ根室本線が部分廃止の方針を示されるとは、時代の巡りというのは何とも残酷な気がしてきます。

せめて、ある程度市街地を形成している幾寅駅まで走ることができたら、映画と重なって良かったと思うのですが、ままならない世の中ですね。




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幾寅の市街地を抜け、バスは広い麦畑を抜け、やや流れの速い空知川に沿って進みます。

民家の少ない寂しい所で、冬はきっと厳しい豪雪地帯であることを想像させます。




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12時30分、落合駅着。

駅舎はバスの待合室として使われているようですが、ホームや跨線橋は2年前のままという感じです。




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ここから狩勝峠を越えるのですが、「睡魔」とはよく言ったもので、巧妙な手段で私を誘おうとしてきます。

ちょうどお昼時とか、バスの揺れもそうですが、峠越えに向かって真っすぐ上って行くという何てことのない動きが、逆に単調さを助長させ、それが決定打となって、とうとう私はあっちの世界へと落ちていきました。








・・・ふと目が覚め、周りをきょろきょろしながら見回すと、すでにバスが下っていて、道路脇に「狩勝峠8合目」という看板が目に入り、眠っているうちに狩勝峠の頂上を過ぎてしまったことに肩を落としました。

もっとも、明日も反対方向へ通るし、今の私の席からは十勝平野が見えませんでしたから、気持ちの切り替えは早かったです。



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バスは国道から左へと外れ、ぐんぐん上っていくと、時刻表には書いていない「サホロリゾート前」という所で停車しました。

客扱いをしているようです。



しばらくしてからバスは発車し、再び国道38号に戻ると、「5合目」「4合目」・・・、といった具合に、どんどん標高を下げていきます。




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そして、市街地へ入り、2分遅れの13時15分、新得駅に到着。


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運転士さんにお願いをして、バスのトランクを開けてもらい、キャリーバッグを降ろしました。

次の釧路行きの列車が13時52分と、35分ほど時間があるため、駅前の食堂で昼食をとります。

「からあげ定食」を注文しましたが、10分後にお膳が運ばれてきて、思わずのけぞってしまいました。

なにしろ、大ぶりの唐揚げが8個のほかに、ソーセージ豚肉巻き、焼き魚など、大量のおかずが来て、これをあと20分で食べつくさなければならないのかと、気が重くなりましたが、はたして完食し、満腹どころではないほど重く感じた身体を起こして、なんとか駅へ向かいました。


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駅前にいつの間にか、小学生たちがまとまって座っており、どうやら図工の授業で、駅舎を描いているようでした。

中に入り、改札口で待っていると、何やら不穏なアナウンスが流れてきました。

「13時52分発、釧路行きの特急スーパーおおぞら5号ですが、途中、鹿との接触事故があり、ただ今、8分遅れで運行中です。」(続く)