日高本線3(静内~様似)
終点の様似駅周辺で、コンビニとかあるといいのですが。。。
先ほどは、観光バスタイプであったのに対し、今度は路線バスタイプですね。
高校生と地元の人が数名乗っており、観光客は私1人だけでした。
国道235号はまず鉄道と太平洋にピッタリ沿う形で南下していきます。
夕張では土砂降りの雨に見舞われましたが、ここでは澄んだ空に羊雲が広がっていました。
茶色く濁った海が砂浜へと押し寄せ、高潮が来たら、たしかに線路ごと飲み込んでしまいそうなほどの近さでした。
とはいえ、海沿いの区間はパッと見た感じ、ダメージを受けているように思えませんでした。
日高東別駅が内陸部にあるため、バスも国道からいったん外れます。
牧草地が広がり、やはり馬が夕食でしょうか、草をむしゃむしゃ食べていました。
一方、私は2時間近く何も食べていないので、お腹と背中がくっつきそうです。
だいぶ奥へ入ったところに無人駅の日高東別駅があり、駅前の砂利の広場で何人かの高校生たちや地元の人が降りていきました。
まるで「日高本線の役目はこれで終わりですよ」とでも言うように。
バス停はできるだけ駅の近くに設置されていますが、絵笛駅のように駅前にバスが通れるスペースがない場合は、駅から遠く離れた所に設置されています。
だから、各駅ごとにバス停の位置を確認しておかないと、変な場所で降ろされたと思うことになるでしょう。
バスは浦河町の市街地に入り、ホテルやパチンコ店、食堂、コンビニなどまちを明るくさせてくれる店が林立し、歩道も整備されている所を走ります。
浦河駅周辺は、これらの施設に加え、町役場や消防署など行政施設もあって、町としてはコンパクトにまとまっている印象です。
雲が広がってきましたが、まだ白っぽい明るさは残っています。
少し遅れて、19時10分、様似駅着。
私1人の客を降ろすと、バスは様似営業所へと走り去っていきました。
待合室は、日中、有人駅なようですが、この時間は誰もいません。
1面だけのホームで、、列車は来ないにもかかわらず、なぜか明かりがついていました。
周囲は住宅街で、沿線人口はそこそこいるような気がします。
白っぽい空が灰色へと変わり、風が吹いて肌寒くなってきました。
誰もいないホームの上に立ち、様似駅のホームには永遠に列車が来ないと思うと、淋しさが募ります。
もっとも、本数は非常に限られますが。
駅の100mほど先に国道があり、その向こう側は太平洋です。
何かコンビニとかあればパンとかおにぎりとか買おうと思ってましたが、どうもなさそうでしたから、折り返しのバスが来るまで待つことにしました。
19時40分に折り返しのバスがやってきました。
同じく路線バスタイプで、ひょっとしたら同じ運転士なのではと心配しましたが、幸い、違う人でした。
もし同じ人だったら、乗って顔を合わせたとき、気まずくなりそうですから。
とはいえ、このバスは最終の静内行きで、一応、広尾・えりも岬方面から1時間ほど接続していますが、静内より先は接続していません。
そういうバスにキャリーバッグを引いた人が1人、誰もいない終着駅でぽつんと待っているわけですから、傍から見れば、やっぱり変な人に映るでしょう。
中央より少し後ろの蛍光灯が切れていることに運転士さんが気付き、
「あれ?切れちゃってるね~。お客さん、申し訳ないね~」
と笑顔で言って運転席へと戻り、19時47分、運転士と私だけ乗せたバスが出発しました。
景色は闇に包まれて、せいぜい民家やコンビニの明かりぐらいしか分かりませんでした。
バスは定時に遅れないよう、急いでいるかのようにスピードを出していました。
先ほどより明るさがなくなった浦河の市街地へ入り、鉄道の浦河駅を見ると、誰も入らないはずなのに、ホームに明かりがついていました。
次の絵笛は通過し、また内陸部へと入って、荻伏、本桐と、農村地帯を通りますから、いったいどの方角へ行っているのか迷います。
東静内を過ぎ、海岸沿いを通ると、その先に新ひだか町の明かりが見えてきて、ようやく今日が終わったと感じました。
21時31分、静内駅着。
結局、私のほか誰も乗ってきませんでした。
降りると、バスは静内の詰所だと思われる方へ走り、やがて私の前から姿を消しました。
ホテルに着いてチェックインを済ませると、大浴場が23時までだそうで、疲れたので夕食は諦めて風呂に入り、そのままベッドで入眠しました。(続く)