函館本線(藤城線)
普通列車に乗る前に、8番線から12時28分に、クルーズトレイン「四季彩」が出発するので、それを見送りました。
私と同じように見送る人もいて、カメラを向けて写真に収める人も多数いました。
今度はどこへ行ったのでしょう。
2番線に移り、1両で停まっているディーゼル車が件(くだん)の列車です。
「四季彩」を見た後だから、ずいぶん庶民的になったものだなと感ぜられましたが、これが珍妙なルートを通る列車なのです。
※路線図は、『JR時刻表 2018年5月号』(交通新聞社)から引用。
これが通称「藤城線」と言われる支線で、2016年3月25日、北海道新幹線が開業するまでは、下り特急列車も通っていました。
かくして、乗る難易度が格段に上がったわけですが、新幹線と特急列車がすべて停まる新函館北斗駅を無視する、ひねくれた運用だなと、逆に感心してしまいます。
なお、「藤城線」という通称の由来は、たぶん、通過する地名によるものだと思われます。
(藤城小学校というのがあるぐらいですから。)
英語の自動放送でも、新函館北斗には行きませんと案内されていました。
七飯駅を出発した列車は、高架になって、右へとカーブし、本線と分かれます。
本線は途中から急こう配になり、それを緩和する目的で敷設されたので、はじめから勾配をかせぐというわけです。
線形が良く、なかなかの快走っぷりですから、上から目線で「どうだ、俺は特急や新幹線がみんな停まる駅を通過するんだぜ。すごいだろ!」とでも言いたげに走ります。
もちろん、そんなことはないのですが、しかし、ほとんどの列車がことごとく新函館北斗駅に停めさせられるのを思うと、希少性と相まって、やはり気持ちのいいものがあります。
本線は西側の山の縁を、藤城線は東側の山の縁を走るので、景色はまったく異なります。
しかもだいぶ上ってきてますから、後ろを見ると、函館市街地が見えるのです。
トンネルや切り通しをくり返し、最後のトンネルを抜けると、左手にぱっと大きな湖が現れます。
小沼で、その先には駒ケ岳がそびえています。
残念ながら、小雨が降ってきてしまい、仕方なしに折り畳みの傘をさして行きました。
ラムサール条約に登録されているんですね。
函館の近くに立派な湿地帯がありますから、そりゃあ、観光客に人気があるわけですな。
もう外国人観光客でいっぱいでした。
しとしと雨に変わってきましたが、本来、6月というのはこういう天気ばかりですから、とくに気に障ったりしません。
むしろ、白い靄(もや)が幻想的な雰囲気を作り出して、かえって、味わいのある景色になっています。
他にも遊歩道が整備されていて、散策を楽しみたいところですが、引き返して、観光客向けの食堂に入りました。
2種類の地ビールをいただきました。
こう湿っぽい日には、キンキンに冷えたビールがのどを潤してくれます。
再び駅に戻り、14時の特急列車を待ちます。
いよいよ、これで北海道とも、おさらばですね。(続く)