ゆき丸の鉄道日記

鉄道旅行や雑記を綴ります。

津軽鉄道1

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五所川原駅前で代行バスを降り、JRの駅に隣接している津軽五所川原駅の中に入りました。

これから津軽鉄道に乗りますが、津軽鉄道津軽五所川原駅津軽中里駅を結ぶ全長20.3kmの本州最北端を走る私鉄で、1930年(昭和5年)開業と、比較的古い路線です。




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次の津軽中里行きの列車は、10時18分発と15分後ですから、ちょうどよい接続時間です。

この列車は、毘沙門駅(びしゃもんえき)を通過し、かつては「準急」と名乗っていました。

発車時刻表が縦書き漢字で、昭和初期っぽい雰囲気を出しています。


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そもそも駅舎の中自体が暗く、古びた建物と相まって、余計に昭和らしさが醸し出されている気がします。




津軽中里駅までを往復するだけなら、通常の往復券を買った方が安く済みますが、途中の金木駅に寄ろうと思っていますので、2300円の1日フリーきっぷを購入しました。

なにしろ、予定が狂って、本来であれば、1本前の9時32分発に乗って往復するだけでしたし、五能線で深浦方面へ行けなくなった今、弘前方面へ戻る五能線の列車が、14時32分発しかありませんから、思わぬ観光時間が取れてしまったわけです。

だから、旅程がいまだにはっきりしないまま、フリーきっぷを買うことになりましたが、記念品にはなるでしょう。

なお、フリーきっぷの他に、「コロプラ」という可愛らしい動物のデジタルキャラクターがプリントされたカードも付いてきました。




出発5分前に改札が始まり、大鰐温泉駅と同じ、またJRと共用の跨線橋を渡って、突き当りを下ります。

青森県の私鉄線は、跨線橋は共用するのに、駅名はどうしてもJRと独立したいらしい。。。



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2両編成のディーゼル車が入線してきましたが、当駅で後ろ1両を切り離し、単行となります。

前面には「走れメロス」と書かれたヘッドマークが付いていますが、沿線の金木町が太宰治の出身地だからです。


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留置線には、塗装がはがれまくったボロボロの気動車(上の写真)や、客車(下の写真)が留置されていました。

客車は冬季に、だるまストーブ列車として、現在も運行されています。




車内に入ると、トイレこそ付いてませんが、両側にボックス席が配置され、景色を眺めるには好いでしょう。

還暦を過ぎた観光客ばかりが乗り、さらにアテンダントも乗り合わせました。

最近、地方の私鉄や第三セクター線では、アテンダントが乗務し、沿線の観光案内とかをしてくれるサービスが増えてきました。

アテンダントは中年で細身の女性でしたが、さすが津軽地方出身とあってか、色白で若々しく見えました。




外は相変わらず暴風が吹きつけ、雨もそれなりに降っていましたが、定刻通り、10時23分に出発しました。

さっそく、アテンダント津軽鉄道について説明をし、さらにA5サイズぐらいで津軽鉄道手作りの金木観光案内マップを1グループずつ配りました。

グループで配ったのは、枚数が足りなくなるからでした。




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列車はしばらく更地や田んぼ、畑地帯といった寂寞な所を走ります。

どんよりとした雲が低く横たわり、雲だけ見ればまるで冬の時期に来ているかのような思いがします。



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列車は毘沙門駅を通過しましたが、この付近は「鉄道林」という強風・吹き溜まりを防ぐ林が並んでいます。

1956年(昭和31年)に、津軽鉄道の職員が総出で1500本ものクロマツを植えたそうです。



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嘉瀬駅には、落書きのようなイラストが施された列車が留置されていました。

「おじゃMAP」というテレビ番組で、香取慎吾が中心となって手掛けたのだそうです。

それともう1つ、嘉瀬駅は歌手の吉幾三の実家があります。

俺ら東京さ行ぐだ」の歌詞では、散々この地方の田舎っぽさをこき下ろしていますが、もちろん本人は今でも年に2回ほど帰省しているぐらい、郷土を大切にされています。





金木駅でほとんどの観光客とアテンダントが降りて行きました。

私はこのまま終点の津軽中里駅まで行き、折り返して再び金木駅で下車するつもりです。

なにしろこの強風で、いつ列車が停まるか分かりませんし、私の第一の目標は完乗することですから、優先順位としては「乗ること」が先で、「観光」はおまけみたいなものです。

列車交換による待ち合わせが終わり、私ともう1人地元民のご老人、そして運転士の3人だけを乗せて、金木駅を出発しました。




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金木駅まで観光客の会話で脚色されてまだ明るさが保たれていましたが、ついに車内にも人がいなくなって淋しさが強調され、本来の津軽鉄道の姿を見たような気がしました。

10時58分、終点の津軽中里駅に到着。


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駅名標に「日本最北端を走る私鉄」と書いてありましたね。

北海道はJRの他には、函館市と札幌市という地方公共団体が運営していますから、民間鉄道会社ではたしかにここが最北となります。


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駅構内には転車台も設けられており、津軽サポーターズクラブがクラウドファンディングで資金を集め、2017年に復活を遂げたそうです。



駅を出ると、雨は止んでいましたが、風が強く吹きつけ、とても長い時間居られたものではありませんでした。

駅へ戻り、11時28分発の折り返し列車を待ちます。(続く)