ゆき丸の鉄道日記

鉄道旅行や雑記を綴ります。

由利高原鉄道3(おもちゃ列車)

さて、由利高原鉄道鳥海山ろく線も、あとは上り列車に乗って帰るだけですが、わざわざ項目を独立させたのには理由があります。

それがこれ↓↓



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2両連結のディーゼルカーですが、後寄りは行きと同じ七夕列車で、これは貸切となっていました。

そして、前寄りには6月25日(月)にデビューしたばかりの「なかよしこよし号」というおもちゃ列車です。

名前の通り、ファミリー層向けの車両で、「こよし」は、沿線の「子吉」と掛けています。

ホームページには7月1日(日)からの運転とありましたが、なぜかその前から運転されているようでした。



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内装は県産のスギやナラをふんだんに使っており、明るく温もりを感じさせます。



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座席は4人がけボックス席をはじめ、サロン席、パノラマ席、ソファー席、ベビーベッドとバラエティーです。

目的に応じた席を選べるというわけです。

座席のモケットが赤と緑のヒョウ柄というのもお洒落ですね。



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サービスカウンターも設置されています。

この時は、変哲のない普通列車としての運行でしたので、アテンダントさんはいません。

後ろの棚にぬいぐるみやおもちゃの箱が置いてあります。



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こちらは木のプールコーナー。

子ども達が集まって、木の球でじゃぶじゃぶ遊ぶことができますね。


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こまやイラスト入りの積み木、車の模型などのおもちゃも用意されています。


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しかも、積み木に関しては、文節ごとにイラストが入って、かつ並べ替えて文を作ることができます。

これにより、平仮名だけでなく、言葉とイラストと文を一度にマッチングさせることができるので、非常に効率の良い学習になります。

材質もプラスチックとかではなく、木というのもまた良く、子どもや発達障がい児には親しみやすいですね。




かように、子どもや発達障がい児には楽しみながら学べるという工夫満載の車両でして、しかも観光料金とか指定席料金とかは無しで、つまり乗車券だけで乗れちゃうのです。

そういう車両は、全国でもおそらくここだけだと思います。



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ちなみに、肝心の乗客数ですが、地元の女性と行きと同じ老紳士、そして私の3名。

これに運転士さんと見習いの2名が付き、計5名で、子どもは1人もいませんでした。

なにしろこの日は6月28日(木)と平日ですから。

だから、見習いが付いているように、旅客も兼ねた試運転のような感じで、私は本格運用の前に試乗という形になったのです。




なお、鮎川駅からは、旧鮎川小学校を改装した「木のおもちゃ美術館」も7月1日にオープンしました。

こちらも木のおもちゃがたくさん用意されていて、1日中楽しめるそうです。




結局、鳥海山は裾野が見える程度で、全貌を見ることは叶いませんでした。

12時41分、羽後本荘駅に到着。


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行きに乗った七夕列車のヘッドマークが、「エボルタ電池鉄道」に変わっていました。




改札口で駅員さんに、「乗車券、記念に持ち帰っても良いですか。」と聞くと、

「ええ、どうぞ。ぜひ。」と愛想よく応えてくれました。

「お客さん、ひょっとして、あの車両に乗ってこられたんですか。」

あの車両とは、おもちゃ列車のことである。

駅員さんは、おもちゃ列車のチラシを私に見せながら、

「お客さん、運が良いですね~。あれ7月1日から運転されるんですよ。6月中はめったに出てこないんですよ。」

たしかに、行きも帰りもどちらかと言えば、子ども向けの観光用車両で、しかも閑散とした状態で乗れたのですから、貴重なことこの上ないです。




思えば、地方の鉄道路線がどんどん廃止され、鉄道は斜陽産業だと思っていました。

路線図が縮小されていくたびに、宮脇俊三氏が国鉄全線を完乗したり、最長片道切符を敢行したりした国鉄時代の方が良かったとさえ思いました。

しかし、今日の由利高原鉄道線に乗って、おばこ姿のアテンダントさんによる観光案内や、乗客を楽しませる工夫を凝らした車両、さらに佐藤まつ子さんのような地元の方との交流があって、今の時代も満更悪くないという考えに変わりました。

まさにローカル線ブランドの「今だけ」「ここだけ」、そして「あなただけ」を体現した路線だと思いました。

もちろん、鉄道好きとしては、これ以上廃線されてほしくないのですが。

とにかく、これで由利高原鉄道も無事乗り終え、あとは家に帰るだけです。

13時33分発の新潟行き、特急いなほ10号に乗り換えます。(続く)