南海多奈川線
この車両には、車端部が4人がけボックス席が設けられていました。
しかも閑古鳥が鳴くほどの乗客数でしたから、ボックス席を1人で占有し、買ってきたチーズケーキを頬張ります。
座席の向きというのは不思議なもので、こういうボックス席では食べやすいのに、横向きベンチ型のロングシートでは気が引けて、食べづらいんですよね。
今日(7月3日)はこれから、南海支線群を回ります。
時間があれば、南海高野線にも乗りたいのですが、これは明日に回しても構いません。
これらの路線のうち、いちばん気を付けなければならないのが和歌山港線で、1日13本しかないため、これに合わせる必要があります。
幸い、13時台が2本あり、どちらかに乗れれば、あとはなんとかクリアできるでしょう。
しかし、どの路線も盲腸線で、バスとかで別の路線に行くことができませんから、必然的に何回も往復することになります。
まだるっこしいですが、コツコツと進めていくしかないですね。
尾崎駅で、11時28分発、特急サザンに乗り換えます。
この列車は、前4両が指定席、後ろ4両が一般車という珍しい恰好をした運用で、私は後方の何の変哲もない車両に乗りました。
11時35分、みさき公園駅着。
5番線に、11時45分発、多奈川行き2両編成の列車が停まっていました。
こうしたことから、現在の多奈川線は、ただの一ローカル線に過ぎず、線内を行ったり来たりするだけとなっています。
やがて、高校生たちが乗ってきて、ちょっと賑やかになりました。
南海本線が左へ急カーブして孝子峠(きょうしとうげ)へと向かうのに対し、こちらは緩い右カーブでトロトロ進みます。
小高い所から深日(ふけ)の町並みを見おろします。
先ほどの水間鉄道沿線の家並みは、寺院が多いこともあってか、どこか宗教的(仏教的)な薫りが感じられましたが、こちらは宗教色はなく、港町らしい生活感の趣があります。
深日港駅で高校生たちは降りて行きました。
車内に残っているのは、私と地元客の2人のみです。
11時51分、終点、多奈川駅に到着。
駅前は民家が並んでいます。
人通りは少なく、車ばかりが行き交います。
ちょうどお昼を回ったところで、深日港に行って、食堂がないか探します。
歩いて5分程で深日港駅。
ホームは6両分の長さがありますが、現在は2両編成しか入らないため、使われない箇所に柵がしてあります。
駅前に岬町役場があります。
波は穏やかで、磯の香りが漂っています。
かつてはここから淡路、徳島へのフェリーが出ていたんですね。
釣り人がいました。
何が釣れるのでしょう。
港近くに定食屋を見つけ、そちらで天丼を注文しました。
お客さんは地元の人ばかりです。
お膳に出てきたのは、穴子とたこの天丼で、地物だそうです。
おいしそうですが、先ほどチーズケーキを食べたことと、12時28分発の列車に間に合わせるため、急ぐ必要があったことのせいで、あまり味わうことができませんでした。
計画性がないと、しばしばこういう目に遭います。
12時25分に店を出て、早足で駅へ向かいます。(続く)