南海高野線2(橋本~極楽橋)
応其は旅人の便宜を図るため、紀ノ川に約235mの橋を架け、これが「橋本」の由来として伝えられています。
特産品は、へら竿、パイル織物(ぬいぐるみなどの羽毛生地)、柿などです。
この車両は1両の長さが17mと、他の南海車両(20m)に比べて短く、「ズームカー」と呼ばれています。
なぜ「ズームカー」なのかは、はっきりとした理由はわかりません。
この先、半径100mをはじめとする急カーブが連続し、それに対応するため、車長が短くなったのです。
座席は向きを変えられる「転換クロスシート」で、まさに観光向けと言っていいでしょう。
応其が架けた橋はないけど、市内には現在4本、鉄道ではここ1本が架かっています。
同時に、乗客も地元民が減り、観光客と私の前に座っている作業服を着たおっさんとなりました。
民家が山にへばりつくように立っています。
深く切り立った谷を通り、高野線は減速を余儀なくされます。
前のおっさんが紀伊細川駅で降りて行きました。
このあたりは何もない山の中で、ホームにもう1人作業服を着た人がいましたから、保線区の人なのでしょう。
昨年の平成29年(2017年)10月に台風21号の影響で、上古沢駅構内の道床が崩れ、2018年3月までおよそ5か月間も不通が続きましたから、保線には念入りに行うと思われます。
人家がなく、白い煙に包まれた山深く幽邃(ゆうすい)な所を、右へ左へとくねらせながら登っていきます。
車窓はトンネルと森の中が交互に繰り返される感じで、時おり、写真のような視界が開けることもあります。
これを見ていると、まるで俗世間から異世界へと連れられているかのようです。