近鉄生駒鋼索線(生駒ケーブル)
とりわけ、宝山寺線は1918年(大正7年)に開業した、日本で最も古いケーブルカーです。
宝山寺線の景色はいろいろと変わった点が多いです。
第一に、この路線は(高級)住宅街を走ります。
だいたいケーブルカーは行楽地を結ぶため、人家の少ない所を通るものですが、この路線の沿線は住宅やマンションが多く、したがって、生活路線でもあるのです。
そして第三に、複線です。
いわば、単線を2本並べた状態なのです。
途中の行き違いでは、線路が合計4本並ぶというわけです。
行き違う間にこれまた踏切が設置されていて、普通自動車程度なら通れます。
なお、当車両の相方は、三毛猫の「ミケ」号です。。。
この日(9月6日)は、生駒山上遊園地が閉園日でしたが、運行はしているみたいですね。
(40分に1本の間隔ですが。)
山上線は正真正銘の単線です。
車両はケーキ型ケーブルで、その名も「スイーツ」号です。。。
ついに前面窓にいちごもデコレートしてしまいましたか。。。
窓の開け閉めの注意書きも子ども向けに、すべて平仮名です。
遊園地が閉まっているので、客は私1人しかおらず、あとは乗務員が乗って、15時49分、出発です。
子ども向けの車両に、乗務員が乗るのは自然ですが、そこにいわゆる「大きいお友達」1人が乗って、これで「世にも奇妙な三角関係」が完成しました。
ケーブルカーは宝山寺の下をトンネルでくぐり、首を上げるようにぬっと出ると、左手のブロック塀を越して、民家が見えます。
山上線と民家の間に石段があり、次の梅屋敷駅まで続いています。
梅屋敷駅にはおばあちゃんが1人、待合室にいましたが、当列車には乗りませんでした。
反対列車に乗るのでしょう。
反対列車は、誰も乗っていませんでした。
霞ヶ丘駅です。
登山道が整備されており、ハイキング向けの駅と言えるでしょう。
そういう「大人の事情」で設けられた駅ですから、利用者はほとんどおらず、待合室すらない哀れな存在になっています。
ケーブルカーは林間を登って行きます。
もう3度目の言ですが、本当によく台風21号から無事だったな~と感心します。
15時56分、生駒山上駅に到着。
高い屋根が全体を覆って、まさに遊園地の玄関口ですね。
目の前が遊園地で、この日は閉園でガラーンとしていますが、なぜか入り口が半分開いていました。
開いているということは、中に入っても問題はなさそうですが、途中、従業員と会って、いろいろ詮索されたら面倒なので、案内図を見るぐらいにして、あとは奥へ入るのを止(よ)しました。
サイクルモノレールやゴーカート、ミニ列車、メリーゴーランドなどファミリー層向けの遊園地ですね。
野良と思われるトラネコが、地面にだらしなくべったりと寝そべっていました。
のんびりとしたやつですが、先日、あの荒れ狂った暴風雨をどうやって凌いだのでしょう。
困ったことに、折り返しのケーブルカーが16時29分までなく、誰もいない遊園地前にポツンと佇んでいるのも退屈ですから、下へ行ってあの秘境感あふれる霞ヶ丘駅まで行ってみようかしらん、なんて思って、駐車場へと続く坂道を下りてみました。
虫があちこち飛び回って気になりますが、半分下りた所で駐車場が見え、どうもそこから右へ続く道があるらしいのですが、赤いカラーコーンに安全バーが掛けられており、立入禁止のようでした。
帰りのケーブルカーも先頭席の私と、となりに乗務員、そしてあのピンクの車両と三位一体で出発し、下って行きます。
もう前のいちごが視界を塞ぐこと。。。
霞ヶ丘駅を過ぎ、乗客は誰もいないだろうと反対列車を見ると、乗務員のとなりにおっさんが1人先頭席に座っていました。
遊園地は閉まっていますから、たぶん私と同類の客でしょうけど、傍から見ると、こうもシュールに映るのかと苦笑してしまいます。
夜になれば、きっと星空のごとく都市の光が点在しているのでしょう。
下り勾配も30‰(パーミル)とかなりきつく、額田駅、枚岡駅なんかは急坂の途中に設けられて、ホームが傾いているようでした。
途中、先行列車がノロノロ走っているためか、急行列車も詰まって減速してしまったため、気が気でなかったのですが、鶴橋駅に着くと、今度は勝手が分かってますから、出口に出てからのJR大阪環状線に乗り換えがスムーズに行きました。
これで予定していた3つの未乗路線乗りつぶしを果たしましたが、距離にすると、わずか9.3kmしかならないんですね。
家に着いた時、スマホのバッテリーは5%しか残っていませんでしたが、テレビをつけると、北海道では全域停電がまだ続いているというニュースが流れ、何もできない身としては、ただ一刻も早い復旧を願うばかりでした。
(終わり)