中央本線2(ホリデー快速ビューやまなし号)
中野から先は、主に住宅街を走ります。
これ以上土地が余っていないぐらいひしめき合っていて、駅前になると、昭和の古い木造家屋があったりします。
ベランダに洗濯物を干している様は、東京とは思えないのんびりとした光景です。
車内はおおむね静かな雰囲気でしたが、三鷹駅に停まると、たくさんの乗客が乗り込んできて、7割方の席が埋まりました。
それにもかかわらず、スピードはめっぽう遅く、チンタラチンタラと惰走(だそう)します。
こんな体たらくなのも、中央線の運行本数が異常に多いせいで、三鷹以外は先行列車を追い抜くことができないという事情があります。
ただでさえ、本数が多い中に臨時便を無理矢理ねじ込んでしまいましたから、定期便の合間をぬって走らざるを得ないのです。
通過駅でもゆっくりなので、例によって、この車両にカメラを向ける人がいました。
さすがに快速電車よりは速いですが、後続の青梅特快や中央特快よりも遅いです。
この駅でさらに乗ってきましたが、指定席なので立ち客はいません。
この先で乗る人は少なく、あとは降りる一方です。
一方、自由席の方は見てないので分かりませんが、ホームには行列ができているあたり、どの車両も立ち客が出るほど混んでいると思われます。
自由席より雑然としないところが、指定席の良い点ですね。
高尾駅から先は風景が一変し、山岳地帯を走行します。
ここは中央本線の絶景ポイントですね。
大月駅で降りる人は多かったのですが、当方のいる号車ではあまりいませんでした。
列車は東西に細長く延びる谷を上って行きます。
わずかな平坦地に田んぼがあって、刈り取った稲を稲架架け(はさかけ)していました。
笹子駅を過ぎると、全長4656mの笹子トンネルに入ります。
この笹子トンネルを境に、気候がしばしば変わったりします。
勝沼ぶどう郷駅で半分ほど降りて行き、ホームには観光客であふれていました。
ちょうど、ぶどう狩りのシーズンです。
列車は次の塩山駅までを山の縁に沿うようにぐるりと回りこんで、緩く下りて行きます。
塩山駅を過ぎ、土地がいっそう開ければ、両側にブドウや桃の木が並びます。
ブドウはシーズン真っ盛りで、枝に果実をたくさん付けていました。
一方、桃はすっかり終わって、果実の包み紙が地面に散乱していました。
そのうち住宅街となって、線形もよくなり、スピードを上げて行きます。
すると、私の斜め向かいのおばさんが席を移動し、進行方向左側の席に座りました。
指定席車ですから、勝手に移動していいのかと思われるかもしれませんが、この時はガラガラの状態でしたので、席を移動しても、検札の乗務員はその辺の事情は熟知していますから、とくだん咎められることはありません。
11時12分、甲府駅に着くと、私のいる車内は私を含めて4人になりました。
席はよりどりみどりですが、あまり移動している姿を乗務員に見られると滑稽に映るので、最小限に控えます。
列車は標高を上げ、高原地帯へと入っていきます。
あと2つだけですから、逃げ切ればいいかもしれませんが、小淵沢駅には特急列車を退避する設備がないため、ここで10分ほど待ち合わせをするのです。
11時59分、この列車の終点、小淵沢駅に到着。
次は、12時40分発の普通列車、松本行きに乗ります。(続く)