ゆき丸の鉄道日記

鉄道旅行や雑記を綴ります。

越美北線[九頭竜線]

本来であれば、9月30日(日)から3泊4日で、中国・四国地方の未乗路線・区間乗りつぶしを行うはずでした。

前回の東海・関東・東北旅行から2週間とちょうどよく、そのつもりで計画を立て、ホテル、きっぷの手配までして、準備万端のところまで来ていました。

ところが、けしからぬことに、猛烈な勢いの台風24号が襲来してきて、またしても計画はお釈迦になり、あえなく1週間の延期を余儀なくされました。(その1週間後にも台風25号が追撃するとのことで、どうなるのか、ため息ばかり出ます。)

そういうわけで、中国・四国旅行を決行するまでずいぶん間ができてしまい、もうブログに書くこともないから、そのまま放っておいてもいいだろうなんて考えていましたが、出かけた日を除けば、ほぼ毎日更新していることにすっかり慣れてしまい、ここで止めるのも妙な心地がしてきました。

それで、(富山在住の私にとって)なるべく近場で済ませ、かつ当ブログにも記録に残していない路線を考えた結果、福井県のローカル線群に乗ることに決めました。


これらの他に、時間があれば東尋坊にも寄ってみたいなと思います。

ブログの埋め合わせみたいな形になりますが、とにかく乗れるうちに乗っておきます。







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台風が来る2日前の9月28日(金)。

午前9時前、福井駅から出発です。

まずは越美北線に乗って、終点の九頭竜湖駅を目指します。





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2番のりばから、9時8分発、九頭竜湖行きの普通列車です。

2両連結のディーゼルカーで、後ろの1両は途中の越前大野駅で切り離されますから、前の1両(たらこ色)に乗ることになります。



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車内は前回の大糸線と同じリニューアルされていて、独特の甘酸っぱい匂いがしました。

平日の午前とあってか、乗客は少なく、私を含めて6人でした。







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越美北線は、正式には次の越前花堂駅(えちぜんはなんどうえき)から九頭竜湖駅までを結ぶ52.5kmの地方交通線で、当列車は終点までを1時間41分かけて走ります。

「北」という字が付いている通り、もともとは越美線として岐阜県美濃太田駅から郡上市を経由して福井駅につなげる計画でした。

残念ながら、両路線がつながる計画は果たせず、南側の方では現在、美濃太田駅からは長良川鉄道越美南線北濃駅まで営業しています。
(路線図など詳しい事情は、杉山淳一「鉄道トリビア(279)『越美北線』はあるのに『越美南線』がない!?」(2014年)を参照)  https://news.mynavi.jp/article/trivia-279/

貨物駅の南福井駅の先で北陸本線と分岐し、扇型のような構内を持つ越前花堂駅より東進します。






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列車は越前東郷駅までは福井平野を走ります。

沿線に住宅は少なく、田んぼやソバ畑が見えます。




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一乗谷駅から先は足羽川の谷に沿って進みます。

流れは速いですが、これはまだ穏やかな方で、2004年(平成16年)7月の豪雨で、線内5カ所の橋梁が破壊されるという被害がありました。

廃線の危機に陥りましたが、無事、3年後の2007年(平成19年)6月に、全線で再開されました。

山林は杉が多く、民家は点在するぐらいで、彼岸花秋桜、ススキがいたる所で見られます。

また、だいたいの駅のホームには、植木鉢の中にオレンジのマリーゴールドや赤・ピンクのベゴニアが綺麗に咲いていて、無人駅に彩を添えます。





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足羽川と別れ、トンネルをくぐって牛ケ原駅まで来ると、開けた土地が姿を現します。

大野盆地に入り、広大な田んぼ地帯を通ります。

見てると、もう刈り入れの時期なはずなのに、まるで苗を植えたばかりの様子で、二期作なのかどうか分かりませんが、とにかく緑がいっぱいに敷かれています。

やがて、大野市街地に入り、10時5分、越前大野駅に到着です。




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当駅で後ろ1両の切り離し作業が行われるため、12分の停車です。

切り離された車両は、折り返し、10時15分発の福井行きとなるため、10時17分出発の当列車とは縦列停車です。

紛らわしい並びで、もし乗り間違えたりしたら、本数が少ないですから、取り返しが効かなくなります。




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朝ご飯は食べてきたのですが、午前6時半に家を出ましたから、この時間になると、お腹が空いてきます。

というわけで、福井駅ホームの売店で買った駅弁「越前かにめし」をいただきます。

これを食べるのも久しぶりで、ふたを開けば、カニのほぐし身がたっぷり載って、付属の刻みのりを振りかけて食します。

カニ自体は外国産のベニズワイガニを使っていますが、風味が広がってあっという間に平らげました。

臭いはそれほどきつくなく、まして車内には私を含めて4人しかいませんから、さほど問題にはならないでしょう。






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越前大野駅より先はさらに人口過少地帯を通るため、運行本数も5本に減少します。

まだ大野盆地内を走っているうちは、一面ソバ畑が広がって、これがのちに越前蕎麦へと変わるのでしょうか。

陽射しがだんだん強くなってきて、まぶしいぐらいになります。







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柿ヶ島駅から先は九頭竜川に沿う峻険(しゅんけん)な九頭竜峡を通ります。

しかし、勝原駅からは1972年に延伸された比較的新しい路線ということで、越美北線は蛇行する九頭竜川に構うことなく、橋梁やトンネルなど直線的な線形で貫きます。

このため、意外にスピードは速いですが、外の景色はあまり見られません。

ときおり下を流れる九頭竜川は底が浅く透き通っているほどでしたが、この川は有史以来、竜のごとくの暴れ川で、しばしば氾濫・洪水の被害をもたらしました。

複雑にえぐられた絶壁のような谷が川へ垂直に落ち、今は緑ばかりの木々も、シーズンを迎えれば紅葉に染まるのでしょう。






トンネルをいくつか抜けて、並行する国道158号線沿いに工場や民家が現れ、10時49分、終点の九頭竜湖駅に到着です。



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有人駅なので、きっぷは駅員に回収されますが、私は記念に持ち帰りたいので、その旨を伝えました。

外に出れば、柔らかな日差しにそよ風が吹き、清々しいほど好天気ですが、8分後に列車は折り返します。
(続く)