越美北線[九頭竜線]
前回の東海・関東・東北旅行から2週間とちょうどよく、そのつもりで計画を立て、ホテル、きっぷの手配までして、準備万端のところまで来ていました。
ところが、けしからぬことに、猛烈な勢いの台風24号が襲来してきて、またしても計画はお釈迦になり、あえなく1週間の延期を余儀なくされました。(その1週間後にも台風25号が追撃するとのことで、どうなるのか、ため息ばかり出ます。)
そういうわけで、中国・四国旅行を決行するまでずいぶん間ができてしまい、もうブログに書くこともないから、そのまま放っておいてもいいだろうなんて考えていましたが、出かけた日を除けば、ほぼ毎日更新していることにすっかり慣れてしまい、ここで止めるのも妙な心地がしてきました。
それで、(富山在住の私にとって)なるべく近場で済ませ、かつ当ブログにも記録に残していない路線を考えた結果、福井県のローカル線群に乗ることに決めました。
これらの他に、時間があれば東尋坊にも寄ってみたいなと思います。
ブログの埋め合わせみたいな形になりますが、とにかく乗れるうちに乗っておきます。
台風が来る2日前の9月28日(金)。
午前9時前、福井駅から出発です。
車内は前回の大糸線と同じリニューアルされていて、独特の甘酸っぱい匂いがしました。
平日の午前とあってか、乗客は少なく、私を含めて6人でした。
(路線図など詳しい事情は、杉山淳一「鉄道トリビア(279)『越美北線』はあるのに『越美南線』がない!?」(2014年)を参照) https://news.mynavi.jp/article/trivia-279/
沿線に住宅は少なく、田んぼやソバ畑が見えます。
流れは速いですが、これはまだ穏やかな方で、2004年(平成16年)7月の豪雨で、線内5カ所の橋梁が破壊されるという被害がありました。
廃線の危機に陥りましたが、無事、3年後の2007年(平成19年)6月に、全線で再開されました。
足羽川と別れ、トンネルをくぐって牛ケ原駅まで来ると、開けた土地が姿を現します。
大野盆地に入り、広大な田んぼ地帯を通ります。
見てると、もう刈り入れの時期なはずなのに、まるで苗を植えたばかりの様子で、二期作なのかどうか分かりませんが、とにかく緑がいっぱいに敷かれています。
当駅で後ろ1両の切り離し作業が行われるため、12分の停車です。
切り離された車両は、折り返し、10時15分発の福井行きとなるため、10時17分出発の当列車とは縦列停車です。
紛らわしい並びで、もし乗り間違えたりしたら、本数が少ないですから、取り返しが効かなくなります。
朝ご飯は食べてきたのですが、午前6時半に家を出ましたから、この時間になると、お腹が空いてきます。
臭いはそれほどきつくなく、まして車内には私を含めて4人しかいませんから、さほど問題にはならないでしょう。
まだ大野盆地内を走っているうちは、一面ソバ畑が広がって、これがのちに越前蕎麦へと変わるのでしょうか。
陽射しがだんだん強くなってきて、まぶしいぐらいになります。
このため、意外にスピードは速いですが、外の景色はあまり見られません。
ときおり下を流れる九頭竜川は底が浅く透き通っているほどでしたが、この川は有史以来、竜のごとくの暴れ川で、しばしば氾濫・洪水の被害をもたらしました。
複雑にえぐられた絶壁のような谷が川へ垂直に落ち、今は緑ばかりの木々も、シーズンを迎えれば紅葉に染まるのでしょう。
トンネルをいくつか抜けて、並行する国道158号線沿いに工場や民家が現れ、10時49分、終点の九頭竜湖駅に到着です。
有人駅なので、きっぷは駅員に回収されますが、私は記念に持ち帰りたいので、その旨を伝えました。
外に出れば、柔らかな日差しにそよ風が吹き、清々しいほど好天気ですが、8分後に列車は折り返します。
(続く)