ゆき丸の鉄道日記

鉄道旅行や雑記を綴ります。

伯備線2(特急やくも8号)

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10月10日(火)の午前7時40分。

中国・四国鉄道旅行2日目は、JR松江駅から出発し、瀬戸大橋を渡って四国(香川県)に入り、琴電の3路線を乗破します。

ホテルから駅まで無料の送迎タクシーを利用することができ、おかげで雨にぬれずに済みました。





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7時51分発の特急やくも8号で、岡山駅へ向かいます。

昨日、通ったばかりで、また利用しなければなりませんが、そうしないと四国に入れないので、面倒でも我慢します。

自由席車はガラガラで、むしろ隣に停車していた4両編成の快速列車の方が通勤・通学客で混雑していました。






8時16分、米子駅に着き、黒いスーツを着た中年ビジネス客が数名乗ってきました。

窓外を見ると、ホーム上で2人の女子高生たちと駅員、それに作業員が立っていて、作業員がマジックハンドで線路に落ちた物を拾い上げ、女子高生に渡していました。

よく見えませんでしたが、たぶんスマホを落としたらしく、すぐに駅員さんに知らせたのでしょう。

こういう場合、自分で取りに行ってはならないのはもちろんのこと、非常ボタンも押してはいけません。

2人の女子高生たちは取り乱すこともなかったようで、冷静に対処し、拾い上げた駅員と作業員にお礼を述べていました。







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日野川のそばに煙突からもくもくと煙をはいているのが見えます。

王子製紙の米子工場で、まもなく伯耆大山駅の構内に入ると、工場へ延びる1本の専用線と合流しました。

ここから山陰本線と分かれ、列車は中国山地の方に突き進みます。





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残念ながら、大山は中腹までうっすらと見える程度で、山頂付近は完全に白い雲に覆われてしまいました。

地面は濡れていて、そのうち雨が点々と窓に付いてきました。






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日野川が進行方向右手に来たり左手に来たりと、慌ただしいような地形ですが、伯備線はそんなことはお構いなしに鉄橋やトンネルで貫きます。

流れはそこそこ速く、白波を立てています。

時々、里山のような風景が広がって、やはり刈り終えた田んぼに芽ができて、緑と茶の縞模様(ストライプ)が出来上がりつつあります。

霧雲が山を包んで、さながら水墨画の世界をひた走っているようです。





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谷田峠トンネルを抜けて岡山県に入っても、川の流れが変わったぐらいで、低く立ち込めた雲の下の渓谷が続きます。





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井倉駅のそばには、日鉄鉱業石灰石を精製する工場があります。

このあたりはカルスト地形と呼ばれ、石灰岩などが豊富に堆積しているため、採掘に向いているのでしょう。

石灰石の主要成分、炭酸カルシウムは、コンクリートの基であるセメントや、土木・建設用の骨材、肥料、飼料、製紙、ガラスなど、私達の身近な生活用品にも使われています。






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柿の木に橙の実をたくさん付け、旬の味覚がまた1つ出てきましたね。





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高梁川から離れて住宅街に入り、10時23分、倉敷駅を定刻通り出発したと思ったら、すぐに速度が落ち、やがて停まってしまいました。

いったい何事かと思って待っていると、放送が流れ、「この先の踏切で、車が脱輪したとの情報が入りました。安全確認を行っています。しばらくお待ちください。」とのこと。

10分ぐらいなら問題ありませんが、それ以上かかるようだと、岡山駅10時53分発高松行きの快速列車に間に合わなくなるから、困ります。

こういう待ち時間では、スマホでネットニュースを見たり、持ってきた本を読んだりして過ごせばいいのですが、やはり次の列車に間に合うのか気が気でなく、次第にイライラが募ってきました。

別に用事があって乗っているわけではなく、まして観光目的でもないのに、怒りが湧き上がるのは、畢竟(ひっきょう)、重度の「乗り鉄」という性分から来るのでしょう。

好きなもののために真剣(マジ)にのめり込んで、うまく事が運ばないとイライラするのは、人間本来的に備わった自然な感情です。

しかし、そうしたストレスに対して、どのように対処できるかが理性的な人、すなわち大人たる所以(ゆえん)で、対処方法をいくつも持ち、実践して適切に感情をコントロールできるかが問われているのです。

私の場合、もし乗り遅れたら、19分後の11時12分発の列車に乗り、高松駅で時間が空きますから、そこで美味い讃岐うどんを食べるつもりです。

10時40分に列車は動き出し、そろそろと進み、件(くだん)の踏切に差しかかりました。

脱輪した車はどうなったのか一目見てやろうと思って、左右をキョロキョロしてみましたが、もう車の姿は無く、作業員の人達がゆっくり通過する当列車の行方を見守っていました。

結局、岡山駅には18分遅れの10時53分に着き、どうやら私の乗る予定の列車はまだ出発していなかったようでしたから、急げば間に合うかもしれない。

ダメもとで階段を駆け抜け、5番線に向かいました。(続く)