ゆき丸の鉄道日記

鉄道旅行や雑記を綴ります。

とさでん交通後免線・伊野線

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とさでん交通後免線は、後免町からはりまや橋までを結ぶ全長10.9kmの軌道線で、また伊野線ははりまや橋から伊野までの11.2km軌道線で、線路自体はつながっています。

しかし、全線を通しで運行する電車はなく、必ず途中駅で乗り継ぐ必要があります。

その場合、運賃は乗った電車の終着駅で、下車予定の駅までの運賃を支払って運転士から乗継券をもらい、次の電車に乗ってまた下車する際に、運転士に乗継券を提示して降ります。

私の場合、9時51分発の鏡川橋行きで終着駅まで行き、鏡川橋で10時59分発の伊野行きに乗り継いで、伊野駅まで乗り通すことになります。

この乗継券は、最初の電車に乗って途中駅で降りても、もらうことはできず、終着駅まで乗り通すことが条件です。






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一番前の特等席はすでに塞がっていたので、後寄りの席に座って、後面展望を見ます。

古いタイプの車両で、ブーーーーンと昔ながらの吊り掛け駆動音が床下から響きます。

路地裏を抜けた後、大通りに出て、併用軌道を走ります。

車の往来は多く、典型的な地方の交通事情です。






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やがて、専用軌道を走るようになるのですが、道路とは柵で区切られてはおらず、反対(後免町)方面の線路の片方が道路にピッタリくっついています。

周囲は住宅街ですが、時おり田畑も見られ、乗降客は概して少なかったです。




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不思議なのは、一条橋から次の清和学園前の位置が、道路を挟んだ向かい側にあり、距離はたった63mしかありません。

これは日本一短い駅間の長さで、どちらか一方を廃止しても問題なさそうですが、「日本一」という肩書が付くなら、なくすのも惜しいのかもしれませんね。

そういうわけで、出発してから30秒も経たぬうちに停車します。






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知寄町三丁目で、南国バイパスと合流し、道路幅がさらに広がりました。

車の交通量が多く、周囲もビルが目立ってきました。

利用者も多くなってきて、立っている人がいるほどです。





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デンテツターミナルビル前でほとんどの客が降り、ちょうど特等席が空いたので、そちらへ移動します。

同時に運転士も交代し、何やら私が伊野まで乗り通す申し送りをしていました。

目の前には南北を縦断する桟橋線とダイヤモンドクロスしており、車とともに路面電車が横切ります。

こちらの信号が青になると、クロス部分を渡り、はりまや橋です。

路線名は伊野線に変わりますが、電車はそのまま進みます。




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しばらくは緑化された軌道を走ります。

欧州では街の代名詞のごとく当たり前の風景ですが、日本では鹿児島県の鹿児島市交通局(かご電)が大規模な取り組みをし、全国にも広がってきています。

軌道の緑地化は、ヒートアイランドの緩和や都市の景観美、騒音の軽減などの効果があり、環境面には優しいです。

芝生の刈り入れや車が進入した時の対策など課題もありますが、数少ない日本の路面電車に広がってくれるといいですね。

右手奥に高知城の囲いを見ながら、さらに西進します。





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上町一丁目、二丁目、三丁目を飛ばして、四丁目、五丁目という並びの停留場に停まっていきます。

停まるといっても、この時点で乗客は私しかおらず、乗ってくる人もいませんから、通過してしまいますが。





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予め伊野までの運賃460円を運賃箱に入れ、運転士さんから緑色の乗継券をもらいます。

これを持って鏡川橋でいったん降り、次の伊野行きに乗って、終点でこれを見せれば、新たに運賃を払わずに降りられるわけです。




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ようやくこの電車の終点、鏡川橋が見えてきましたが、先行電車が詰まってホームへ進入できません。

べつに事故が発生したというわけではなさそうですが、どうも反対電車が遅れているらしく、結局、10分遅れで到着しました。




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ちなみに私が乗ってきた車両には、アンパンマンのラッピングが施されていますが、ご存じ作者のやなせたかし氏の出身地だからです。




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反対方面は相変わらず遅れており、アンパンマン電車もしばらく待ちぼうけの状態です。

そのうち、後から次々と電車がやってきて、順番待ちするようになりました。

電車同士が至近距離で順番待ちというのも珍しい光景で、ダイヤは存在しても運行には当てにならないようなものです。

伊野行きは次の青い電車ではなく、その後ろに控えている深緑と白のやつです。






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11時ちょうどに、伊野行きの電車がやってきました。

やはり反対電車云々・・・で、5分遅れの出発です。






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特等席は塞がっていてため、また後面を眺めます。

鏡川橋から先は単線で、狭い道幅の所を通ります。

曙橋付近で反対電車との行き違いのために待ちますが、けしからぬことに、なかなかやって来ないため、だんだん不安になってきました。

というのも、終点の伊野着は11時23分の予定で、土讃線のJR伊野駅は11時53分発と30分の乗り換え時間を取っていますが、それすらも怪しくなってきたからです。

11時53分発の土讃線に乗れなければ、3日目のゴールである松山駅には大幅に遅くなるため、なんとしても間に合ってもらわなくては困ります。

しかし、こればかりは自分でどうすることもできませんから、歯がゆい気持ちのまま、ひたすら祈るばかりです。

やがて、反対電車「ハートラムⅡ」が悠然と去っていき、15分も待たされた当電車はようやく動き出しました。






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後免・伊野線は、全体として土讃線と並行していますが、朝倉駅前から伊野まではとくに間近に並びます。

だから、こちらがこまごまと停留場に停まっている間に、隣の土讃線が颯爽(さっそう)と走っていく姿には、羨ましく思えてきます。

高知市街地から田舎のようなのんびりとした所をトコトコ走り、路面電車の中でもここまで景色が様変わりするのは、ここの他には知りません。





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11時40分にやっと伊野市街地に入りました。

JR伊野駅には、伊野駅前停留場が最寄りですが、終着の伊野停留場は200m先で、そこまで乗り通す必要があります。

20分の遅れで、11時43分に到着し、乗継券を渡して下車します。





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伊野停留場の手前で軌道が分岐しており、かつて車庫があったそうです。

ただし、ポイントは撤去され、アスファルトで埋められてしまったため、もう車庫へは行けなくなっています。

次の土讃線が出発するまで、残り10分。

その間に、松山駅までのきっぷと特急券を買わなければならず、はたして間に合うのか。。。(続く)