ゆき丸の鉄道日記

鉄道旅行や雑記を綴ります。

予土線

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予土線は若井駅と北宇和島駅を結ぶ全長76.3kmの地方交通線ですが、実際の運行は1つ手前の窪川駅を発着し、また愛媛県側も北宇和島駅の次の宇和島駅を発着します。

窪川駅から若井駅までは、土佐くろしお鉄道中村線を通るため、別途210円の運賃が発生します。

私がこれから乗る13時24分発、宇和島行きの4823D列車は、時刻表上では「海洋堂ホビートレイン」という車両で運転されることになっています。

この車両は5年前にも乗車したことがあり、車内には小さくもなぜか宇宙的なフィギュアがたくさん展示されていたのを覚えています。

久しぶりの乗車なので、車内設備がどうなっているのかの異同が楽しみでもありました。








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ところが、「海洋堂ホビートレイン」は検査なのか故障なのか分かりませんが、ホームに姿がなく、代わりに一般車が停車していました。

どこをどう見ても、宇和島行きの予土線で、駅でも車内でも「この列車は予土線宇和島行きです」と放送が流れ、ガッカリしました。

しかもこの車両は、横向きベンチタイプのロングシートが左右にズラーーっと並んでおり、トイレすら付いていないという、旅行者にとってこれ以上ないぐらい蔑ろにされたものです。

だから、昼食を腹いっぱいまで食べてしまった私は、途中でお腹を壊さぬよう祈るばかりでした。







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予土線は「しまんとグリーンライン」という愛称が付いているように、四万十川に沿って進みます。

若井駅まではのどかな盆地を走りますが、その先は山深い所に入り、やがて運転席から「ジリリリリ」と自動列車停止装置(ATS)が作動します。

川奥信号場で、ここで予土線中村線が分岐するのです。

当列車は行き違いのために停車し、高知方面に向かう特急列車とすれ違いました。

ゆっくり動き出し、谷間を見ると、眼下に中村線の線路が南東方向に延びていますが、中村線は一度ぐるりとループして下っていくのです。






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民家の少ない所を通り、再び四万十川と合流します。

葉は色づき始めたばかりなのに、枝についているのが少なく、枯れ木のような姿に落ちぶれています。

こんな貧相な様になったのも、相次いで襲撃した台風のせいなのでしょうが、これでは秋の最大の美景が台無しになる気がします。





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四万十川の流れは早く、エメラルドグリーン色をしていて、岸に近い部分では底が見えます。

時々、川の中央部に奇岩が鎮座しており、これも予土線の見所の1つです。

蛇行する四万十川をよそに、予土線は遠慮なしにトンネルや橋梁で貫き、速度は概して速いです。

江川崎駅までは1974年(昭和49年)に開通した比較的新しい路線のためで、スピードの点はローカル線らしからぬ趣です。

江川崎駅の手前で南下する四万十川とは別れ、今度は支流の広見川に沿います。

14時20分、江川崎駅で6分停車し、「トイレをお済ませください」との車内アナウンスもありました。







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高知県四万十市の山側に位置する江川崎は、2013年(平成25年)の夏に、日本国内史上初となる41.0℃を記録し、さらに4日連続40℃超えをした猛暑地帯です。

私は夏に来たことがないので分かりませんが、暑い空気が外に逃げにくい盆地だなということは見て想像つきます。

この日は湿っぽい空気でしたが、ほどよい涼しさで、虫の音が聞こえるのどかな様子でした。







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広見川は支流とあって、四万十川より川幅が狭く、迫力に劣りますが、予土線の速度が落ちているため、むしろこちらの方がローカル線らしいゆったりとした時間が流れます。




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近永駅まで来ると、鬼北盆地に入り、平坦な所を走行します。

相変わらず、刈り取りが終わった田んぼから芽が出ており、耕しはまだなのでしょう。

一方、車内にはぼちぼち下校する高校生が乗ってきて、賑やかになってきました。




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務田駅で盆地が終わり、再び山岳地帯走行しますが、急カーブや急坂が多く、次の北宇和島駅までの6.3kmを12分もかけて進みます。

そんな険しい所ですから、7月の豪雨災害でも土砂が多数流入したらしく、復旧までおよそ1カ月を要しました。

狭い土地に民家がポツポツと点在し、その背後はすぐに山林が迫っています。






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15時30分、北宇和島駅に到着し、私はこの駅で下車します。

向かい側には15時31分発、予讃線の松山行きの普通列車も到着し、飛び移る形でそれに乗車します。(続く)