甘木鉄道甘木線
それで、私の完乗計画では「未乗」という扱いにしていました。
だから(覚えてないけど)、何十年ぶりの乗車ということで、まるで長年逢えなかった人とご対面するかのような思いでした。
待合室でサンドウィッチを食べ切り、15時11分発に乗ります。
古いアルバム写真で見たレールバスではありませんでしたが、色はあの頃を継承していて、どこか懐かしさを覚えました。
時々、起終点で整列乗車のために、一度降りなければならないことがありますが、運転士さんに訊いたところ、乗りっぱなしでも大丈夫とのことでした。
ぽつぽつと乗客が入ってきますが、半分にも満たない乗車率のようで、私は眺めの良いボックスシートに移動しました。
あとは田畑が広がるのどかな所をトコトコ走ります。
子どもの頃、時々食べることがあったボンタンアメも、ここ10年以上口にしてないことを思い出しました。
キャラメルのようにいつまでも歯にくっつき、そのために妙な甘さとボンタンの香りが続いて、あまり好きではなかったのですが、久しぶりにまた味わいたくなってきます。
写真に収めることはできませんでしたが、進行方向左手にコスモス畑が広がり、秋の彩を添えていました。
15時57分、終点の甘木駅に到着。
車両基地と本社機能を持ち、起終点の風格があります。
しかし、のんきに駅を眺めたり写真を撮ったりする暇はありません。
次の西鉄甘木線が16時2分発と、乗り換え時間がたったの5分。
何十年ぶりの甘木鉄道とはあっけない別れ方だけど、この16時2分発を逃すと30分も来ないので、なんとしても乗らなければなりません。