吉松駅
人だけでなく、農産物などの輸送も行われ、最盛期には600人を超える鉄道職員が配置されました。
まさに「鉄道の町」にふさわしく、駅構内が広いのはそのためですが、今では使われていないヤードはすっかり草茫々に生えた空き地と化しています。
駅舎の右隣りには小さな資料館や石倉(燃料庫)があり、肥薩線の歴史を知ることができます。
また、蒸気機関車C55形52号機が静態保存されています。
私が乗ってきた「いさぶろう1号」は、「しんぺい2号」という列車名に変わって、11時49分、人吉方面に折り返していきました。
さて、ちょうど正午になり、ようやく食堂の営業が始まったとみて、中へ入りました。
が、営業時間を無視してすでにお客さんが入っており、すべてのテーブルが塞がっていました。
「相席でもよろしいですか?」との店員さんに、「こちらいいですよ」との声が。
奥のテーブル席に1人、中年男性が座っておにぎりを食べており、私はその男性にお礼をして、向かい側の席に着きました。
山菜うどんを注文し、出てきたうどんを食べながら、向かいの男性と話をします。
にもかかわらず、なぜわざわざ遠回りの肥薩線経由にしたのかを訊くと、たまには違うルートで帰ってみたかったとのこと。
私と同じ「人種」かと思ったが、そうではないと否定。
鉄道ファンでなくても、やはり肥薩線には何か人を惹きつける魅力があるのでしょう。
12時29分発の肥薩線、隼人行きに乗るということで、別れの挨拶をしました。
店を出ると、日差しが温かく、涼しい風がそよぎ、小春日和な陽気です。
しかし、近くに観光地というのがありませんから、駅の待合室で大人しく待つことにしました。
もう暖房が部屋中に効いていました。(続く)