ゆき丸の鉄道日記

鉄道旅行や雑記を綴ります。

完乗旅行の振り返り

2018年(平成30年)11月3日(土)、沖縄都市モノレールゆいレール]をもちまして、目標としていたJR線・私鉄線(ケーブルカーを除く)の完乗を果たしました。

鉄道完乗を果たした人は、これまでにもたくさんいて、その時の心境は人それぞれだと思います。

そこで、私も現時点での心の内を晒したいと思います。









まず、そもそも鉄道完乗なんて行為は、誰からの強制を受けることはなく、一方で、達成したからと言って、何か名誉や褒章をもらえるわけではありません。

完全に趣味の領域ですから、自分勝手に進めていけばいいだけの話です。

たくさんのお金と時間は使うし、基本的に誰からも応援されることはありません。

となれば、モチベーションを支えるのは、自然と「好き」という内発的動機づけとなります。
(というか、そうでないと出来ません)

まさに「好きこそものの上手なれ」で、この気持ちが、粘り強く乗り抜くことにつながったと思います。







次に、ルール設定ですが、趣味なので、これも自分の裁量で決めればいいだけの話です。

念のため、私が課したルールを提示すると、



(1) 普通鉄道(新幹線を含むJR、私鉄、地下鉄、第三セクター鉄道)、モノレール、案内軌条式、モノレール、リニアモーターカー路面電車は乗る対象とし、ケーブルカーとロープウェイは含めない。

(2) 貨物線・連絡線は、普通列車・快速列車が通る所は入れ、有料列車・臨時便しか走らない所は含めない。

(3) 不通区間については、代行バス・路線バスがあれば、それに乗ることで乗車とみなす。



これらのルールは、はじめから決めたものではなく、やっていくうちにこうしようという形になりました。

(1)について、本来ケーブルカーも含めるべきですが、時間的・経済的制約で、こうせざるをえませんでした。

しかも、完乗を企図する前に乗った路線も乗車済みとみなしましたから、いよいよ甘すぎるルールとなっています。

ただ、(2)については、時刻表の営業キロが載っていないこともあり、不要だったなと今では思います。

これはほんの一例ですが、趣味なので、自分の要領で進めていけばいいし、途中でルール変更、またはリタイヤしても、誰からも咎められることはありません。








こうしたことを踏まえ、次にやって良かったことを、主に3つ挙げていきます。

第一に、多様な車窓を見ることができたこと。

北は北海道から南の沖縄まで、日本列島には縦横無尽に鉄道網が形成されていますから、東京や大阪のような大都市、郊外住宅街、村落、田舎の田畑、山川海など、まち並みや自然風景が実に多様で、これらを眺めているだけでも、日本の広さを実感することができました。

しかも、地域ごとに特色を有していますから、地理のお勉強にもつながります。

重複した区間もありましたが、季節や天気、時間帯によって景色の表情が変わるので、それぞれの良さを味わうこともできました。

こうした風景や経験を、乗車記録としてブログに書き、写真を載せたことで、「私だけの平成末期における鉄道風土記?」なるものが仕上がったように思います。
(と思ったら、なんと1県だけ全く載せてませんでした!)





第二に、様々な車両に乗れたことです。

鉄道と言えば、これがなくては始まらないと言っていいほど不可欠な要素ですね。

車両も、路線や時間帯、あるいは日にちによって出会うのが変わります。

予想できるものから当日乗るまでのお楽しみまで、ギャンブル性が含まれているのも鉄道に乗る醍醐味の一つ。

通勤電車仕様から特急車両、古いものから新しいもの、安っぽいものから豪華なもの、素っ気ないものから装飾できらびやかに見せたもの・・・、など多種多様で、鉄道好きの私にはとても面白いものでした。






それから第三に、思いもよらない人との出会いもありました。

私は基本的に内気な性分で、人に声をかけるのは苦手ですが、そんな私でもいろんな人に巡り合うことができました。

民話を語ってくれた地元の方、歴史を説明してくれた観光ボランティア、自分のこれまでの人生を語ってくれたおばあちゃん、駅で出会った同じ趣味の紳士、客が私1人しかいない列車で一緒に会話しながら乗車した運転士、民宿でお世話になった方々、アビリンピックに出場した選手、島で出会ったバードウォッチャー・・・

どれも思い出深く、こうした方達と出会えたおかげで、無機質になりがちな旅行に彩を添えてくれました。

全国数多ある鉄道を巡っただけなのに、こうした副産物もいただけたのは嬉しいものです。








一方で、悔いを残した点もあります。

なんといっても、企図するのが遅すぎた感がありました。

日高本線の大部分や根室本線の一部区間で不通になり、廃線が濃厚になってしまったことや、日田彦山線の一部区間など廃線の予断を許さない状況、大井川鐡道井川線の土砂崩れによる不通区間の発生など、早く手を付けておけばよかったのに、みすみすチャンスを逃しました。

また、写真を意識的に撮り始めたのが今年の4月からでしたので、それまで乗車済みの路線でも、もっとたくさん写真に残しておけば良かったという悔いもあります。

写真(または動画)なんて、それこそネット上に余りあるほどアップされているから、別にいいやと思ったのですが、いざ撮っていくうちに、いずれは貴重な風景になるではとの思いが強くなってきました。

それで、下手ながら撮るようにしたのですが、あとで見返してみると、やっぱり貴重で愛しいものになっているのを感じました。







しかし、後悔ばかりしても始まりません。

完乗を終えれば、鉄道旅行への張り合いがなくなるそうですが、私の場合、幸か不幸か、まだまだ乗り足らぬ思いでいっぱいです。

まだブログに残していない鉄道や、未乗のケーブルカー、JR山田線など災害から復旧予定の路線、おおさか東線沖縄都市モノレールゆいレール]の延伸開業、そして宇都宮ライトレールの新規開業など、乗るべき路線がたくさんあります。

最近は外国の鉄道にも興味を持ち始めてしまい、いよいよ末期症状を呈しています。

こんな調子では、死ぬまでこのビョーキと付き合うことになりそうです。

でも、ひとまず区切りは付いたので、これで私の鉄道完乗物語は幕を閉じようと思います。

今後は、暇ができた時にのんびり更新していく予定です。(終わり)