輪島観光6(朝市、輪島塗会館)
明くる日の10月22日(月)。
午前7時に起きて着替えをし、7時半に朝食です。
お膳には、白ご飯、味噌汁、焼き鮭、野菜のおひたしなど、家庭的な料理が並んでいましたが、やっぱり何か余所より一品多いような気がしてきます。
さすがに量は夕べほどではないにせよ、あれだけ食べてしまえば、朝まで消化しきれるわけがなく、なんとか食べ切るのが精一杯でした。
部屋でゆっくりくつろぎ、ぼちぼち身支度を整えて、午前9時半にチェックアウトです。
すると、女将さんが「これ、よろしければどうぞ」と言って渡してくれたのは、輪島塗のお箸でした。
それも1人2膳で、見てみると、粗品とは思えないほど品のあるデザインでした。
厨房から板長も出てきて、「どうも、ありがとうございました」と挨拶。
「こちらこそ、ありがとうございました。料理美味しかったです」
「いえいえ、どういたしまして。これから、朝市に?そしたら、ここを真っ直ぐ行っていただいて、突き当りを左に曲がれば、朝市通りです。ここから歩いて5分ぐらいですね」
「本当にお世話になりました」
と、私達はお礼を言って、宿を出発しました。
週が明けたばかりなのに、たくさんの観光客で賑わっています。
輪島朝市は1000年以上続く市場で、道の両脇に露店が連なり、「いらっしゃいませー」「どうぞー、買うてくださーい」「安いですよー」など、能登の女性の声が元気に響きます。
新鮮な魚介類やら野菜、果物、工芸品など魅力的な品物が並んでいて、財布のひもは緩みそうになります。
ただ、なにぶん、車で来たわけではありませんから、基本的に生ものは買えず、この点、公共交通機関で来る欠点だなと思いました。
それで、私達は、とある民芸品店で、九谷焼で輪島塗のコップを買い、さらに酒屋で地酒、おつまみを買いました。
赤い「いろは橋」を左に曲がり、川沿いに進むと、輪島塗会館があります。
1階は展示販売所になっていて、値段を見ると、大抵ウン万円となっています。
中には数十万、数百万もする品が鎮座し、庶民である我々からすれば、高嶺の花、「はは~」と頭を下げたくなるような趣でした。
2階は資料館です。
輪島塗が出来上がるまでの工程が順に説明されています。
工程数がおよそ100以上もあり、徹底した分業体制がとられています。
それぞれの職人が技を極め、いかんなく発揮することで、素晴らしい逸品へと仕上がっていくのだそうです。
そのため、完成までに半年から数年も要し、昨今のスピードを求められる社会とは真逆の世界ですね。
また、それらの職人をつなげるプロデューサー役の塗師屋も重要で、発注から販売、納品に至るまで管理します。
なお、館内は薄暗くなっていますが、これは暗くすることで、漆の艶が際立つからです。
だから、輪島塗は、冬の暗くどんよりとした日本海側でその真価を発揮します。
外に出て、時刻は正午を回りました。
朝市通りに戻ると、さっきまでの賑やかな雰囲気が嘘のように引き、片付けていました。
商売道具を車の中に入れたり、店を閉めたり、道路に水をまいたり・・・
車も店もないおばあちゃんは、台車に荷物を乗せて引いていきました。
こんどの穴水駅前に行くバスの出発まで、まだ1時間以上ありましたから、昨日入った足湯にまた行きました。
中は誰もおらず、静寂に包まれた雰囲気でゆっくりくつろぎました。
昼飯はお腹が空いていないので、抜きにして、輪島駅前に直行します。