ゆき丸の鉄道日記

鉄道旅行や雑記を綴ります。

樽見鉄道

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12月13日(木)。

午前11時40分は大垣駅です。

JR東海道本線で米原からここまで来て、これから樽見(たるみ)鉄道に乗ります。

樽見鉄道大垣駅樽見駅を結ぶ全長34.5kmの第三セクター路線です。

1984年(昭和59年)10月、旧国鉄樽見線(当時は大垣から神海まで)を引き継ぎ、開業しました。

1989年(平成元年)には、神海(こうみ)から樽見まで延伸開業し、現在に至っています。

私は4年ぶりの乗車で、今回が2回目となります。








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5・7番線ホームの岐阜寄りに、樽見鉄道の窓口があり、そこで「1日フリー乗車券」を買います。

大垣から樽見までは片道920円、往復1840円かかるところを、このきっぷは1000円で利用できるわけですから、大変お得です。

ぺらっぺらの紙乗車券と樽見鉄道沿線マップをもらい、12時7分発の列車に乗ります。

列車と言っても、1両しかありませんから、正確には単行車なのですが、それはともかくとして、ずいぶん遅い時刻に乗るものだなと思われるかもしれません。

これは正直不本意な乗車で、本来であれば、その1本前の10時40分発に乗るはずでした。

ところが、どうしたことか、富山駅からの北陸新幹線内で大事なきっぷを富山駅で落としてしまったことに気付き、取り戻さなければなりませんでした。

次の新高岡駅で降り、富山駅に折り返して、着くやいなやまずは落としたと思われる待合室を見渡し、無いことを確認してから改札口に行くと、はたして茶色の定期券ケースに入れた乗車券類が置いてありました。

心ある人が届けてくれたようで、最悪の事態は免れましたが、おかげで金沢駅では1本後の特急に乗ることになり、しかもこの列車は大垣まで行かず、途中の米原止まりでしたから、東海道本線普通列車で来たのでした。

幸い、終点の樽見駅で1時間半空けてあったので、樽見駅からは予定通りに進めることができそうですが、そのぶん、樽見駅周辺での昼食及びまち歩きが叶わず、とんぼ返りすることになります。

私にとって、これはお店に入ってひと通り見回った後、何も買わずに出ていくようなもので、沿線に何も貢献できないのが悔しいですが、こうなってしまった以上、やむを得ません。

車内に乗り込むと、両脇にロングシートが堂々と延びていて、乗客数は12人。

ビジネスマンが3人の他は、地元の人達でした。








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大垣駅を出発すると、しばらくは東海道本線と並走し、東大垣駅の先で分かれつつ揖斐川(いびがわ)を渡ります。





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広々とした平野部を時速60kmぐらいの速さでのんびりと進みます。

富有柿は一部を残して終わったようで、葉っぱもすっかり落ちて枯れ木のような姿を見せていました。

代わって、こんどは柚子などの柑橘系の実がつけていました。

別にどうってことない景色かもしれませんが、こののどかさがローカル線らしさを表していると思います。





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美江寺から北方真桑にかけて、工事が行われていました。

将来、高架化するそうで、これにより県道の四車線化が完了するそうです。






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モレラ岐阜駅は、ショッピングセンターの近くに設置されています。

そのため、無人駅だけど利用者は多く、降りて行く人もいれば、買い物を終えたおばあちゃんたちが乗ってきたりもしました。






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さすがに12月にもなると、稲刈り作業は終わって、「冬眠状態」になるようですね。





12時35分、樽見鉄道の本社がある本巣駅です。

車両基地も構え、4,5両が留置してありました。

線内では比較的大きめの駅の割に、周囲には駅前に住宅街があるぐらいで、反対側にいたっては田畑が広がるのみです。

反対方面の列車が発車していくと、キャリーバッグを引きながら急いでホームに上がってきた女性が逃したらしく、当列車の運転士さんに次の大垣方面の列車はいつ来るのかを尋ねました。

1時間半後で当列車が折り返して来ることを説明すると、女性はがっかりした様子で駅舎の方へ戻って行きました。








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12時40分に本巣駅を出発し、次の織部駅は道の駅「織部の里もとす」が併設されています。

実態としてはむしろ逆で、道の駅に鉄道駅が設置したような格好ですが、どちらにしても道の駅併設型は当駅が初です。

この駅も利用者が多く、数人降りて数人乗ってきました。






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織部から先は揖斐川の支流である根尾川とともに山間部へと入り込み、ローカル色が濃くなってきました。

スピードも落ち、カーブに差し掛かると線路と車輪がきしむ音がギギギと響きます。

樽見鉄道の白眉(はくび)と言えるでしょう。

神海でビジネスマンが降りて、車内には私を含め6人となりました。

すると、別々に座っていたおばあちゃんたちが前の方に集まってきて、何やら話をし始めました。

あまり分かりませんでしたが、どうやら足が不自由で大変だとか、旦那の具合は大丈夫かなど、健康面についてのようでした。

身体の面はともかくとして、こうやっておしゃべりに花を咲かせるのも年配の女性に見られる光景で、列車が公共的空間というか、広場(コミュニティ)のような役割を果たしているんだなと思いました。






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神海からは平成元年に開通した比較的新しい区間で、先ほどまでカーブで減速を強いられた列車が、こんどはトンネルや橋梁の多い直線が多くなったためか、スピードを上げていきます。

何度も根尾川を渡り、最後のトンネルを抜けたら程なく、終点の樽見駅、13時14分着です。







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根尾村(現本巣市)の中心部に位置しているようで、駅周辺は住宅街や商店、郵便局、本巣市の分庁舎などそれなりにあります。

線路の先はまだ遠くまで延びており、「まだ延伸できる、諦めていないんだぞ」という意気込みが窺えます。






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駅前はロータリーが整備されており、開通記念碑や「うすずみふれあいプラザ」という休憩所が設けられています。

そのロータリーに1台のマイクロバスが停まっており、薄墨温泉まで行く無料シャトルバスです。

興味はあったのですが、どうせ今晩宿に泊まるときに風呂に入りますから遠慮し、本来であれば町に繰り出す手筈となっていました。

本当に、なぜきっぷを落としてしまったのだろうと恨みをもちたくなります。。。

なお、春には薄墨桜が咲き誇るそうで、その時にまた行ってみたいなとも思います。






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不本意ながら、わずか10分の滞在で、13時24分発の折り返し列車で大垣駅まで戻ります。






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昼食抜きではもたないので、米原駅で買った井筒屋の「鶏めし」を開きます。

ロングシートで気持ち的に食べづらい雰囲気ですが、車内には6人しかおらず、これから徐々に乗ってくることを考えれば、今のうちです。

いちおう醤油だしがかかっているものの、味付けは濃くなく、さっぱり風味でした。

濃い味付けに慣れてしまった人には不向きですが、薄味好みの私には(少し物足りなさはあったにせよ)美味しくいただけました。






本巣駅に着くと、列車を逃したあの女性は乗ってきませんでした。

タクシーかなにか、別の交通手段を使ったのでしょう。

14時34分、大垣駅に戻り、まずは樽見鉄道2度目の完乗です。

2回目はただ乗るだけで終わりたくなかったのですが、自分の過失でこういう結果になってしまったのは悔恨極まりないです。

が、それでも落としたきっぷが無事手元に戻ってきただけでも有難いことで、しかもリカバリーできましたから、良しとしましょう。

鉄道旅にはこういうことも起こり得ることを教訓に気を取り直して、次は長良川鉄道に向かいます。(続く)