長良川鉄道越美南線1(美濃太田~郡上八幡)
さきに乗った樽見鉄道ののんびりとした速度とは違って、時速100km以上で軽快に飛ばします。
14時52分、高架の岐阜駅に着き、高山本線に乗り換えです。
できれば美濃太田までは乗車券だけで済む普通列車で行きたかったのですが、15時15分発に乗ると、美濃太田到着が15時53分となり、長良川鉄道との乗り換えがうまくいかなくなってしまいますので、やむなく特急を使います。
しかも、平日の昼下がりとあってか、自由席車内には10人弱しか乗っていませんでした。
車内放送では案内されませんが、高山本線の岐阜駅側からでは最初の見所と言っていいでしょう。
(手前の鵜沼で犬山城も見えますが、遠くて僅かな時間しか見えない。)
私が持っているJR乗車券は12月16日(日)までの4日間有効のため、次の日も使えます。
車内は予想通り、下校中の高校生たちが多く、一部の4人がけボックス席には旅行者が1人で占有していました。
占有というと語弊がありますが、これも座席の不思議なところで、対面ボックス席に1人見知らぬ人が座っていると、途端にその席に座るのを遠慮したくなる心理がはたらきます。
激混みならそうも言ってられないのですが、当列車はまだそこまで混んでいませんから、別の空いている席を探します。
すると、窓を背にしたロングシート部分に空いている席が見つかり、そこに座ることにしました。
ほぼ定刻通りに出発です。
関駅と美濃市駅で半分ほどの乗客が降りて行きましたが、代わってまた高校生たちがどしどしと乗ってきました。
ここらの高校生たちが好いのは、友達同士でよくお喋りすること。
お喋りなんて大したことはないかもしれませんが、実はこの光景は最近、俄かに減ってきていると感じます。
そこには完全に人と人とのつながりを遮断して、完全孤立化した、いわばロボットのような無機質な存在に見えてきます。
私にはこういう賑わいのない暗い雰囲気に包まれた車内は、シャッター街化した商店街に似ていて、魅力が無いように思われます。
列車内でお喋りをすれば、それが毎日の積み重ねで思い出に変わっていきますし、それがその鉄道を大切にする心へとつながっていくこともあるでしょう。
「列車内でスマホばかりいじっている姿を見かけることが多い。これは日本滅ぶね」と、仕事関係のサークルでお世話になった会長さんが言ってましたが、私なりに理解すれば、人との会話がなくなることで「人間らしさ」を失っていくのだと思います。
だから、先ほど樽見鉄道でお喋りをしていたおばあちゃんたちを見ると心が和むし、今いる高校生たちも「彼氏のこと」とか、手元に広げてる漫画のことなど活発にお喋りを繰り広げ、見ている側からすれば、温かい気持ちになるのです。(もちろんスマホをいじってたりもしていましたが、概して友達と会話している方が多かったという印象です)
かと言って、決して粗暴なふるまいをしないところにも立派さを感じます。
午後4時半を過ぎると、日がすっかり山の中へと沈み、暗さの勢いが増してきます。
景色をじっくり眺められないのは残念ですが、これは明日、帰りにもう一度チャンスがあるので、その時までに取っておくことにしましょう。
それより気になるのが、前方に雲が立ち込め、怪しい天気になりそうなこと。
せめて宿に着くまでには雨が降らないでほしいものです。
高校生たちはとくに洲原駅で降りて行くのが多く、ボックス席にも空きが出てきました。
もうこれから乗ってくることはないだろうと、空いているボックス席に移りましたが、ほどなく16時52分、郡上八幡駅に着いてしまいました。
当駅でも降りる人が多く、車内に残っているのは5人ほどしかいませんでした。