ゆき丸の鉄道日記

鉄道旅行や雑記を綴ります。

郡上八幡2(郡上八幡博覧館)

12月14日(金)。

午前7時に起き、窓側の障子を開けると、やはり曇っていました。

ああ、これは今日の市街地観光は雨の中かも。。。

そう諦めて着替え、7時半に朝食。

ご飯に味噌汁、目玉焼きにチキンナゲットとサラダ・オレンジ、焼き鮭、昆布の佃煮、漬物、それに味付け海苔と生玉子と、この手の民宿では定番のメニュー。

生玉子は醤油を少し垂らしてかき混ぜ、ほかほかご飯にかけて食べました。







朝食後、部屋でテレビを見ながらゆっくり過ごし、午前8時50分にチェックアウト。

夕べ、宿の方から市街地までなら車で送ってくれると言われたので、お言葉に甘えて、旧庁舎記念館(観光案内所)までお願いしました。

「どうもありがとうございました。こんな所ですけど、またぜひいらしてください」とおばあちゃん。

私もお礼を言って、下に停まっている車に乗りました。

「すみませんね~。いま暖房つけたばかりだから、冷えちゃって」と女将さん。

うん、確かに冷えてるけど、わざわざ送ってくれるだけでも有難いです。






郡上八幡は北陸との境目だからか、山の頂にはうっすらと白い雪を被っていました。

晩にやはり雪が降ったらしく、さらに「今朝は霧が出たんですよ」と女将さん。

今はわずかに霧が残っているぐらいで、代わって晴れ間がのぞいてきました。

それから、女将さんが時々富山や福井に行くことがあるということを話してくれました。

富山へは仕事で行くぐらいで、付近を通る東海北陸自動車道で3時間ほど。

一方、福井の方が断然近く、夏に三国の砂浜で海水浴に行くそうです。

海水浴に行くということは、その日は民宿をお休みにするのでしょう。

そういえば、ここの宿に決まるまで2軒の民宿に断られましたが、ビジネスホテルとは違って自営業ですから、家の都合で休むこともあるんですね。

そうこうしているうちに、市街地に入り、高台には郡上八幡城が見えてきました。

「明後日16日(日)には南天まつりがあるんですよ」と女将さん。

たしかに、ナナカマドそっくりの赤い実を付けた南天があちこちで見かけます。

南天は郡上の特産品であり、冬の風物詩でもあります。

しかも、「難を転ずる」ことから、縁起物としてももてはやされています。

午前9時、旧庁舎記念館前に着き、宿の方にお礼を言って別れました。







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さて、観光する時間ですが、市街地から郡上八幡駅まで「まめバス」という循環バスが走っているので、これに乗れば駅まで楽に行けそうです。

今日乗る長良川鉄道北濃行き列車は11時21分で、それに間に合うバスを決めます。

とりあえず、市街地をぐるっと見て回ってここに戻ることを想定すると、赤ルートが10時23分、青ルートが10時36分です。

となれば、青ルートが最上ということになりますが、う~ん、観光する時間が1時間半しかないんですね。。。

まあ、メインが列車に乗ることですからどうしようもないのですが、だからといって、ここから駅まで歩くと20分以上かかる見通しですから、やはり10時36分のバスを目処にしましょう。

ガイドマップは、昨日、郡上八幡駅で入手してあるので、これを見ながら観光します。








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旧庁舎記念館の横を流れる吉田川です。

いま私が立っている所は「新橋」で、夏はここから川へ飛び込みをして遊ぶそうです。

下を見やると、いや結構高いし、川の流れは速いし、底も飛び込めるほどの深さじゃないと思うのですが。。。

「むやみに川へ飛び込みをしないでください」との注意書きがされていました。







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シーズン外の平日とあって、観光客は少なく、町はシーンと静かです。

柳町を通っていますが、この辺りの家は一般的な造りのようですね。

水路がいたるところに張り巡らされ、小舟には飲料水としてちょろちょろと水が出ています。

山の中だから、きっと綺麗な水なのでしょう。






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郡上八幡に来て、まず絶対に外せないのがここ、「郡上八幡博覧館」です。

中に入り、受付で入館料を払おうとすると、浴衣姿のお姉さんが来て、館内の案内をしてくれました。

郡上おどりの実演もあり、訪れたからにはぜひ一見したいと思いましたが、初回が午前11時からと、10時36分に市街地を出てしまう私には絶望です。

今からでも列車に乗る時間をずらそうかとも考えましたが、やっぱり終点の北濃までは行きたい。

極度の鉄旅フェチでなければ、考えられない莫迦(ばか)な悩みですが、こういう病気を抱えてしまったところに、観光と鉄道の板挟みに苦悩するのです。

実演見学は諦め、ただの展示見学をすることにします。







2階には、水、歴史、技の3つのコーナーがあって、それぞれ写真や年表、実物が展示されています。

特に目を引いたのが「技」で、木の釣り道具やびく、織物などの伝統工芸から、蝋細工といった現代職芸まで扱っています。

一方、歴史では、鎌倉・室町時代に東氏一族がおさめ、その後、遠藤盛数が八幡城を築いて、さらに稲葉、井上、金森、青山と、なんだか城主がコロコロ変わっていきますね。

時には、江戸時代中頃の宝暦の百姓一揆(郡上一揆)のように、財政難に悩む郡上藩が増税政策に切り替えたために、民衆の反発を買ったこともあり、郡上はいちがいに豊かな所だとはいえない面もあるようです。







1階に下りて、郡上おどりのビデオを見ます。

400年以上続く日本屈指の民謡で、これが7月から9月にかけて約2か月間も行われますから、ビデオを見ただけでも盛況ぶりがうかがえます。

踊りは全部で10種類で、シンプルなものから軽快なものまで様々。

ビデオを見るにつけ、生の踊りを見られないのが惜しくなってきます。








展示コーナーが終わって、土産コーナーに出ると、なにやらツアー客たちがぞろぞろと入ってきました。

私は入館特典に付いていた甘酒の引換券を店員さんに渡し、甘酒をもらうと、

「よろしければ、今から郡上踊りの実演が始まりますけど、いかがですか?」との案内が。

「ネコにまたたび」とばかりに、紙コップの甘酒を持ったままツアー客にくっつき、先ほどの郡上おどりのビデオが流れていたコーナーに行きました。







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団体客は台湾から来たそうで、ステージに立っている踊り手のスタッフからすれば、同じアジア系の私が1人混じっても同類として見られるでしょう。

進行役の男性が客席に台湾語で説明し、その後、スタッフが台湾語で挨拶をしたから、「お~、ここのスタッフは台湾語が堪能なのか」と思ったら、その先の説明は日本語で進みました。

スタッフが日本語で説明し、それを進行役の人が台湾語に通訳します。

私はそのやり取りを眺めながら、甘酒をすすりました。






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実演する踊りは、「かわさき」「春駒」「猫の子」の3種類。

はじめにスタッフが振り付けの手本を示し、それを私達客席が追体験するという流れです。

ひと通り振り付けの練習が終わったら、音楽に合わせて踊ります。

踊ると言っても、立って踊るわけにはいきませんから、手の動きだけです。

調子が上がると、客席の中から数名ステージに駆り出されて踊ったりもするので、さらに盛り上がってきます。

これだけでも楽しい雰囲気なのですから、夏本場の踊りは想像以上に楽しいのでしょうね。







実演は15分ほどで終了し、時刻は午前10時。

甘酒のカップをゴミ箱に入れ、外に出ました。

陽射しがまぶしく、少し温かくなってきました。

この後は、鍛冶屋町の方へ行き、古い町並みを見てみます。(続く)