湯めどころ宇奈月「湯上りコンサート」
またまた地鉄線全線乗り放題の「年末年始ふり~きっぷ」が使えますし、ついでに温泉にも入ってこようという魂胆です。
午後7時17分、宇奈月温泉駅で降り、歩くこと2,3分、2日前に行ったばかりの温泉施設にまたやってきました。
開演は午後7時半からで、無料とはいえ、予想通りお客さんは10人ぐらいと少ないもので、しかも私以外は老夫婦や子連れなど複数人で来ていました。
出演は、フォークシンガーのシンガー英樹さんとギタリストの寺島和紀さんの2人。
ちなみにシンガー英樹さんは、あいの風とやま鉄道、越中宮崎駅の接近メロディ「城の越しから」を作曲されています。
冒頭曲は、シンガー英樹さんの語り弾きで、山下達郎「クリスマス・イブ」でした。
ええ、もうしっとりとした雰囲気で「きっと君は来ない」「ひとりきりのクリスマス・イブ」という歌詞フレーズが、一人身の心に突き刺さります。
そして鉄道好きとしては、この曲とかつてテレビで流れていたJR東海のCMが重なり、「あの頃はよかったなぁ」などと感傷に浸るのです。
曲が終わり、まばらなお客さんから拍手を受けた後、自己紹介、そして意外とお客さんが来てくれて嬉しいと、冗談なのか本当なのか分かりかねることを言った後、
「世はクリスマスの雰囲気に浮かれてると思いますが、今日このコンサートではいつもと趣向を変えて、失恋ソングや寂しい曲などを中心に送ります」と言い、これはもう確実に嫌な予感しかしないと思いました(笑)
それで、次の曲が松山千春「こんな夜は」で、まさに北海道の厳しい冬の夜を一人で過ごすという内容が、心にしみます。
その次が、吉田真梨「うすぎぬ物語」という女性の失恋ソングで、感情的な曲調が私の琴線に響きます。
聴いているうちに、なぜか今年の5月に行った長門湯本温泉峡を流れる音信川(おとづれがわ)の恋伝説を思い出しました。
3曲歌い終わって、ギタリストの寺島さんと交代。
寺島さんは、これまでオリジナルインストゥルメンタルを20曲以上作曲した方で、シンガー英樹さんは「いったいどこからアイデアが出てくるのか」と驚いていました。
披露してくれた曲は全部で3曲。
とくに暗いチューニングで明るい曲作りに挑んだ「気軽にいこう」は、自分の現状と重ね合わせると、まるでぼっち(一人ぼっちの略)を励ます曲のように聴こえ、やっぱり明るさの底に悲しみが流れているような気がしました。(被害妄想)
再びシンガー英樹さんと交代。
CHAGE&ASKAのデビュー曲「ひとり咲き」で、また失恋ソングです。
しかも、よくない薬に手を出してしまった方が作った曲ですから、いよいよ人生の末期症状に陥ってしまった感があります。
もう秀逸過ぎて、心の中で涙が流れてきます。
なんたって「幸せは雲の上に」「悲しみは月のかげに」ですから。
とどめの歌詞「ひとりぽっちの夜」で締めくくり、午後8時40分、無事にコンサートが終了しました。
温泉に入った後、外に出て駅のホームから見上げると、「宇奈月」という名にふさわしい見事な月が見えました。
9時37分発の最終電車に乗り、「ひとりぽっちの車内」に浸ろうと思ったら、4人も乗ってきました。
しかし、ロングシートだから無駄にスペースが空いていて、開いているドア口から寒風が容赦なく入り込み、すっかり湯冷めしてしまいました。
今年は3月に仕事を辞め、一世一代の休暇を手にしたのをいいことに、全国の未乗路線をとことん乗りつぶし、念願だった完乗を果たすことができました。
こんな馬鹿馬鹿しく愚かな行為は、まるで大事な所に付いてなければならないネジが100本抜け落ち、付かなくていい所にそれらが付いているような、要するに無用な旅行でしたが、いちおう自分としては一つの区切りをつけられたと思います。
いつ何が起きるか分からない世の中ですから、やれるうちはやっておこうという刹那的な考え方ですね。
もうネタがなくなったので、これで今年のブログは幕を閉じようと思います。
来年はいつ再開するか分かりませんが、いつも読んでくれた読者の皆さんには感謝です。
それでは、よいお年を!