北越急行ほくほく線
1月19日(土)、所用で東京へ行くことになりました。
私の旅行は大抵「不急不要」なものですが、久しぶりに用事のある旅行となります。
とはいえ、用事が始まるのは夜ですから、「不要」は当てはまらなくても、「不急」ではあります。
したがって、富山から急いで新幹線に乗る必要はなく、どうせならまだ当ブログに載せてない路線経由で行こうという思いに至りました。
1997年(平成9年)3月の開業以来、東京方面と北陸方面を結ぶ短絡線でしたが、2015年(平成27年)3月に北陸新幹線が開業し、線内を走る特急「はくたか」が運行されなくなると、一気にローカル線へと成り下がりました。
一人身の私は、もちろん後寄りの「ゆめぞら号」に座ります。
2割ほどの乗車率で出発です。
関川と保倉川を渡り、左手に貨物ヤードが広がると、黒井駅です。
この駅で乗る人はおらず、次の犀潟駅で少し乗ってきました。
今年は昨年の今頃と比べて、積雪量が圧倒的に少なく、平野部では写真の通り、田んぼがむき出しのままです。
そんな殺風景の中、2両編成の電車はローカル線らしからぬ時速110kmでぐんぐん飛ばしていきます。
特急が走っていた頃は、最高速度160kmという日本の在来線ではトップだったというのですから、驚きの高規格ローカル線です。
だだっ広い所に、ポツンとくびき駅があり、ここでも少し乗ってきました。
トンネルに入り、抜けると一気に雪景色に様変わりです。
かつて頚城(くびき)鉄道が走っていたこともあって、古い民家が目に付きますが、新興住宅もたくさんあります。
たくさんの乗客が乗ってきて、50%ぐらいの乗車率になりました。
またトンネルを抜けて、次は虫川大杉駅です。
反対電車が遅れた影響で、出発が8分延びました。
まつだい駅まで来ると、やはり特別豪雪地帯にふさわしいほどの積雪量を見せてくれます。
道路で堂々とスキーをしている人たちがいて、冬では日常なのでしょう。
線内のおよそ67%がトンネルのため、実は外の景色が見られるのは少ないです。
退屈ですが、一部の運用では、「ゆめぞら号」を使った車内映像が見られます。
当電車は残念ながら映像はありませんでした。
モノクロの世界が広がっていますね。
またトンネルをくぐり終わると、高架に上がって十日町駅です。
降りる人もたくさんいましたが、乗ってくる客の方が多く、8割方の席が埋まりました。
ここまでの通過駅はたった1駅で、あまり快速らしさは感じませんでしたが、ここからはしんざ、美佐島、魚沼丘陵の3駅を通過し、やっと快速らしい走りっぷりを見せてくれます。
しんざ駅を過ぎてすぐ、全長約10471mの赤倉トンネルに入りました。
線内一長いトンネルで、あまりの長さに途中の美佐島駅がトンネル内にあるほどです。
10分弱で赤倉トンネルを抜け、魚沼丘陵駅を通過すると、一面雪が広がります。
魚沼産コシヒカリを生み出す田んぼもすっかり埋もれてしまっていますね。
また乗客が増えてきて、車内は賑やかになってきました。
ローカル線にしては、意外と利用されているんですね。
雪深くなってきたと同時に、少し晴れ間がのぞき始めました。
石打駅を通過し、民家が見えなくなると、山岳路線らしい風景になってきます。
速度も落ちてカーブが連続する区間です。
真上にリフトに乗っているスキー客が見られるのもこの時期ならではですね。
ところで、私がやたら車内で写真を撮っているのが影響したのか、同じようなことをする人が2人出てきました。
私も含めて、本当はお行儀が悪い行為ですが、心に惹かれる風景であれば、つい写真に収めたくなるのが「鉄道旅行病」なのです。
雪をどっさり被った町並みが見え、スピードがゆるゆると落ちていくと、数分遅れの11時、越後湯沢駅に到着です。
少々遅れたとて、次のJR上越線、水上行きが12時13分発と、たっぷり時間があるものですから、かえって待ち時間が短くなって好都合です。
少し早いですが、ここで昼食をとります。
新幹線の停車駅でもありますから、駅ナカには飲食店がたくさん並んでいて、お店探しは容易いです。
私はそのうちの1軒に入り、親子丼をいただきました。
その後、駅ナカのお土産屋をぐるりと回ったり、東西連絡通路上で焼きだんごを食べたりして過ごしました。
駅構内を行き交う人はたくさんおり、みなスキー客ばかりです。
しかし、駅前を見れば、歩いている人はほとんどおらず、寂しい雰囲気を漂わせていました。
なんだか駅だけがひとり勝ちしている勢いで、これだったら、外で昼飯を食べればよかったなと、少し後悔しました。
やがて、時刻は午前11時50分を回り、そろそろ電車がやって来る頃なので、JR上越線のホームへ入ることにしました。(続く)