篠ノ井線(特急[ワイドビュー]しなの4号)
11月22日(金)。
2泊3日中部地方鉄道旅行の初日です。
北陸新幹線「はくたか552号」に乗っていた私は、トンネルを抜けた瞬間の長野盆地を見て、息を呑みました。
霧が見事なまでに平地を包み、幻想的な姿を見せているではありませんか。
今朝は晴れて放射冷却が強まったからなのでしょうけど、ここまで霧が立ち込めているのは初めて見ました。
幸先の良い感じで、これからの旅が楽しみになります。
7時40分に長野駅に到着し、篠ノ井線に乗り換えるべく在来線ホームへと移ります。
乗り換え時間が5分しかないので、ちょっと急ぎ足。
7時45分発、特急「[ワイドビュー]しなの4号」名古屋行きです。
これで塩尻駅まで行きますので、篠ノ井線を全線走破することになります。
できることなら特急を使わず、6分後の7時51分発の快速列車に乗って特急券を節約したかったのですが、その列車は途中の松本止まりで、松本から塩尻方面に行く列車の接続がすこぶる悪いため、断念せざるを得ませんでした。
ま、新幹線からの乗り継ぎ割引が効いて、自由席は600円しかかかりませんでしたので良いですけど(笑)
8両編成中、自由席は前寄りの2両しかなく、私が乗車した先頭車の中はすでにほとんどの座席が塞がっていました。
どうにか通路側の席に座ることができましたが、景色をじっくり眺めることは期待できません。
やはり通勤客が多く、これは仕方がないですね。
長野駅を出発し、千曲川の支流、犀川(さいかわ)を渡ってしばらくすると、篠ノ井駅に停車し、さらに乗客が入ってきました。
満席です。
長野から篠ノ井までは信越本線で、ここから塩尻までの66.7kmが篠ノ井線です。
デッキに移り、ドア窓から景色を眺めます。
稲荷山駅から次の姨捨駅(おばすてえき)が篠ノ井線のハイライトで、冠着峠(かむりきとうげ)を越えるため、くねくね曲がりながら高度を上げていきます。
この時、進行方向左側には善光寺平が広がり、姨捨駅付近がピークとなります。
姨捨駅付近の様子です。
街が小さく見え、しかも遠くにまだ霧がかかっています。
夜景も灯りが星のように散りばめられて素晴らしいと思われます。
この姨捨駅はスイッチバックという構造をしていて、いったん駅の先にある引込線に入って、それからバックしてホームに入線するという珍しい駅です。
残念ながら、特急列車は通過してしまうため、スイッチバックを経ずにそのまま真っ直ぐ本線を突っ走ります。
そのうち全長2656mの冠着トンネルに入りました。
この辺りは姥捨(うばすて)信仰で有名ですね。
トンネルを抜けたすぐの所に冠着駅があり、反対列車との待ち合わせです。
3両編成の普通列車は、月並みな通勤タイプのロングシートで、確かに乗客が多いから詰め込みに効率は良いのでしょうけど、あの素敵な姨捨駅の景色を見るのに不向きな座席ですから、サービスダウンと言わざるを得ません。
何度も同じことを言いますが、JR東日本のローカル線(特に普通列車)の扱いの悪さは、年々ひどくなってきているように思います。
これで「ジャパニーズ オモテナシ」なんて、海外観光客に向けて堂々と掲げられるのでしょうか。
過去最高の内部留保があるのなら、せめて車両の座席ぐらい4人がけボックス席に改造する。
そのぐらいのサービスは提供しても良いのではないでしょうか。
(現に房総地方で走っている普通電車は一部を4人がけボックス席に改造した。)
冠着駅から西条駅までは筑北村の盆地を快走し、途中の聖高原駅でこの特急列車は停車です。
聖高原駅では誰も乗ってきませんでした。
西条駅(にしじょうえき)からトンネルが続き、最後のトンネルを抜けて車窓右側に、先ほど渡った犀川が姿を現します。
現代にできた路線を除けば、鉄道は川沿いに建設されることが多いのですが、犀川沿いは地盤が弱かったらしく、それで筑北村経由になったそうです。
明科駅(あかしなえき)から田沢駅にかけて犀川を見ながら快走し、犀川と別れて大糸線と合流し市街地に入ると、松本駅です。
およそ半数以上が降りて行き、逆に乗ってくる人は少なかったです。
車内は打って変わってガラガラとなりました。
甲府・新宿方面に向かう特急列車や普通列車も数多く運行され、篠ノ井線というよりは事実上、中央本線みたいな感覚です。
長野駅からおよそ1時間の乗車で、8時44分、塩尻駅に到着です。
次は9時36分発、中央本線の辰野行きに乗ります。(続く)