IGRいわて銀河鉄道
11時47分に盛岡駅に着き、トイレを済ませた後、IGRいわて銀河鉄道の改札口に向かいます。
元JR東北本線だった路線ですが、第三セクターに変わり、JRとは別会社となりました。
そのためなのか、盛岡駅ではJRとは別の場所に改札口があり、そこできっぷを買う必要があります。
私は八戸までの107.9km乗りますので、運賃は3110円。
この距離は、JRであれば1980円で済みますから、およそ1.57倍もかかっています。
実は先ほどの新幹線で当駅で降りずに八戸まで乗り通せば、あと1690円出せば済みました。
つまり、新幹線に乗るより在来線の方が1420円も高くついているのです。
新幹線よりも圧倒的に遅く、サービスが一気に落ちるのは言うまでもないですが、さらに運賃まで高いとなれば、傍から見れば乗るメリットは皆無でしょう。
それを承知の上で乗るのは、景色と地域貢献が大きいですね。
どちらも極めて主観的な要素ですが、新幹線ではトンネルばかりで味気ないというのがあります。
やはり鉄道旅行は普通列車でこそ旅情を十分に味わえるもの。
私は一度通ったことはありますが、改めて乗ることで記憶にとどめておきたい。
また、地域貢献については、コロナ禍で鉄道もかなり落ち込んでいますし、まして地方の小さな会社線となればより厳しいもの。
したがって、鉄道好きとしてはほんのちょっとでも地元に貢献したいという思いは持ちます。
見方によっては「上から目線」ととられるかもしれませんが、そういう思いで乗ります。
前置きが長くなりました。
さっそく列車に乗りましょう。
IGR線は1つのホームに0番線と1番線があり、ちょうど1番線から11時56分発の滝沢行きが発車しようとするところでした。
八戸行きは0番線からです。
車両はJR東北本線と同じもので、2両編成。
車内座席はロングシートと4人がけボックス席があり、幸いボックス席の区画が1つ空いていたので、そこに座りました。
乗客は少なく、さらに地元の人ばかりでしたから、私のように長距離を利用する人はまずいないと推察。
だから、1人で4人がけの席を占拠しても咎められないでしょう。
12時10分に盛岡駅をゆっくり出発し、JR山田線とJR田沢湖線、そして秋田新幹線と分かれ、列車は青山、厨川と停車。
地元客がどんどん降りていきます。
次の巣子駅は反対側の上り線が一段高い所にホームがあります。
このあたりは山間部で土地が狭いのか、上下線で高低差がある所を走っていきます。
空模様は雲に覆われ、雨が降るんだか降らないんだかはっきりしません。
スマホで雨雲レーダーを見ると、弱い雨雲がかかっているのですが、要するに微妙な天気なのでしょう。
毎度のことながら、私が東北地方を旅行すると、きまって良くない天候に見舞われるのは、「部分的雨男」なのでしょうか。
霧に包まれた森を見ながら、列車は北上していきます。
さて、ここで盛岡駅で買った駅弁を開き、昼食とします。
「八戸前沖鯖押し寿し」。
これは2年前、山田線に乗った時にも食べたのですが、美味しかったのでまた買いました。
これこれ!
脂ののった鯖はもちろんですが、シャリにも工夫があって、胡麻やガリ、梅が2貫ずつ仕込まれていて、さっぱりとした後味になるのです。
6貫だけでも1つ1つが大きく、鯖も分厚いので、食べ応えは十分です。
このご時世に車内で食べるのは憚れますが、ガラガラであればさほど気にしなくても良いでしょう。
いわて沼宮内を過ぎ、列車はさらに山間部の奥へと進みます。
右へ左へとカーブし、ゴォーっと軋み音を立てています。
その割に列車の速度はゆっくりというわけもなく、淡々と進んでいけるのは、元東北本線という大幹線ならではの路盤のお陰でしょう。
一方で、列車は2両編成なのにホームはその5倍ぐらいの長さがあり、持て余してしまっているのも負の遺産。。。
使われていないスペースに柵は設けられているものの、管理は大変そうです。
IGR線の終点、金田一温泉で、貨物列車待避のため、しばらく停車します。
ホームには1人しかおらず、ガランとしています。
そのうち貨物列車が通過し、当列車もすぐに発車しました。
トンネルを抜けると青森県に入り、川を渡って目時駅に着きました。
ここからは「青い森鉄道」に変わります。
当列車はそのまま八戸まで直通しますが、IGR線とは別会社なので、当駅を境にまた初乗り運賃が発生します。
こういうことが起こるから、運賃が高くつくのです。
いつの間にか雨が降っていました。
三戸から混むかなと思っていましたが、そうでもありませんでした。
結局、終始ガラガラのまま、定刻通り14時5分に八戸駅に到着しました。
次に乗るJR八戸線の久慈行きは15時15分。
1時間以上時間がありましたから、近くのカフェでコーヒーを飲みながら読書して過ごしました。
発車20分前にお店を出て、八戸線のホームへと向かいます。(続く)