宮脇俊三『鉄道旅行のたのしみ』を読んで
宮脇俊三『鉄道旅行のたのしみ』(角川文庫)を読みました。
以下、簡単な感想です。
①沿線の見どころを簡潔に紹介
各地域ごとに著者が選んだ路線と見どころを、簡潔かつ的確に紹介しています。
手っ取り早く知りたい場合は、ここを読むだけでもOKですね。
②路線の歴史
著者は、一般に旅は歴史を知ることで、深く楽しめると言っている。
例えば、北陸本線は何度も線路が付け替えられたりした結果、当初とはまるで別路線となってしまった。
その背景を知ると、北陸本線の印象がガラリと変わるわけだ。
③駅には様々な人の人生がある
後半は駅のルポルタージュである「駅は見ている」。
とりわけ、駅員や鉄道公安職員(現在は鉄道警察隊)の苦労が印象深い。
昔は人口が多かったから、お客さんとのバトルも凄かったんだろうなぁと思う。(特に天王寺駅)
一方で、新庄駅は人は少ないが、除雪作業が大変なことが書かれている。
また、直方駅のようにかつて炭鉱で輝いていた時と比べたら、随分変わってしまい、無常を感じずにはいられない。
本書を読むと、ただ今の鉄道に一喜一憂するのではなく、過去の人々の思いを知り、現在と向き合い、未来を考える一助になるような気がしました。