相模線
4両編成の車内の座席はほとんど埋まっており、日中は1時間に3本とはいえ、利用者が多いことがうかがえます。
列車は出発すると、北へと向きを変えて進みます。
沿線は基本的に住宅街を突き進む感じですが、どこか田舎っぽい雰囲気を残しています。
単線区間のため、2~3駅に1回は対向列車と待ち合わせをします。
門沢橋駅かどうか曖昧ですが、制服で太ももより上の短いスカートを履いた女子高生5人グループが乗ってきて、何やらダンスの話で盛り上がっていました。
そういえば、太平洋側では冬でも超ミニスカを履く女子高生がいるんですよね。
私の住む北陸は雪国で、冬にそんな露出の高い服を着ることはありませんから、ここでも表と裏の文化の違いを認識させられました。
やがて海老名駅で4人が降りていき、階段を上る際、見えないように後ろを手で押さえる姿も、表ならではだなぁと思いました。
いきものがかりの山下穂尊『いつでも心は放牧中』(KADOKAWA)は、「様々な運命と運、そしてちょっとした自分たちなりの工夫の中」で、いきものがかりが成功していったことを、具体的エピソードを交えながら語っています。
面白いのは、作者が高校生の時、自分が将来どうなりたいのか分からないという漠然とした不安をもち、「無駄に相模線に揺られて茅ケ崎の海まで行った」というのです。
分かる!
不安や悩みを抱えると、つい列車に乗って現実から背けたくなる気持ち。
決して解決しないけれど、どうしてか列車に引っ張られて、あてもなくゆらゆらと揺られた挙句、どこかへ連れていってくれるのではないかという刹那的安心感をもちます。
現実との葛藤が青春を象徴しています。
次の下溝駅手前で、相模線で唯一、ほんの少しだけ相模川を見ることができます。
せっかくなので、相模川を見に、13時24分下溝駅で降りることにしました。
誰もいない改札口を通り抜け、5分程歩いて、相模川を一望できる「三段の滝展望広場」という公園に着きました。
階段を降りると、
実はこの場所、10年前にも訪れたことがあります。
駅から近い割にあまり有名じゃないこともあって観光客が少なく、でも綺麗な景色を見ることができるから、穴場スポットだと思っています。
この時は、やや強い風が吹いていましたが、昼下がりの陽光が一帯を照らし出し、体感的には暖かったです。
広場の名前にもある「三段」とは、鳩川分水路が三段になって流れていることからだと思われます。
再び下溝駅に戻り、13時44分発の橋本行きの列車に乗りました。
列車は再び住宅を縫うように走ります。
いよいよ旅の終わりが近づいてきました。
次は最後の八高線です。(続く)