ゆき丸の鉄道日記

鉄道旅行や雑記を綴ります。

八高線

東京以西の関東地方の人口規模は、中央線を境に南北の差があるように思えます。

鉄道路線図を見ても、中央線より南は隈なく張り巡らせてあるのに対し、北は多少の差はあれど、空白地帯が目に付きます。

もちろん鉄道路線の数だけで決めつけるのはナンセンスで、しかも中央線を境に人口に南北差があるという仮説自体、あくまで私がこれまで見てきた中での印象論に過ぎません。

きちんと人口数を比べるなら、南北の自治体範囲を決め、それぞれの人口数の合計を出さなければなりませんが、そこまで計算するのは大変ですので、ここで切り上げます。

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さて、冒頭でそんな話題を出したのは、これから乗る八高線が東京近郊で言わずと知れたローカル線であるからです。

鉄道紀行作家の宮脇俊三、映画評論家の川本三郎、英文学者の吉田健一など、様々な文化人が好んで乗りに行ったようです。

八高線八王子駅倉賀野駅を結ぶ全長92.0kmで、ただし、全列車が倉賀野の1つ先の高崎駅まで運転されており、名前は八王子と高崎の頭文字をそれぞれ取った形となります。




14時18分に出発した列車は、京王線を跨いで進行方向左へと曲がり、北を目指します。

浅川を渡り、1つ目の北八王子駅前は、どーんとでかい工場が見えます。

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小宮駅拝島駅間で多摩川を渡ります。

なお、1945年(昭和20年)8月に、ここで列車同士の正面衝突事故が起き、少なくとも105名が亡くなったそうです。

原因は小宮駅拝島駅それぞれの連絡の行き違いによるもので、当日は悪天候でうまく連絡が取り合えず、両駅から列車を発車させてしまったのだそうです。

たくさんの犠牲者を出した悲しい過去を背負い、今安全かつ安心してこの風景を眺められるのですね。

青梅線をオーバークロスし、進行方向右手から西武拝島線が近づいてきて、拝島駅に到着。

対向列車を待ってから出発し、五日市線青梅線と別れて、高度を上げていきます。

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東福生駅を過ぎ、進行方向右手には国道16号線、そして米軍横田基地が見えてきます。

沖縄県を除くと、日本列島最大の基地だそうで、車内から眺めてもその広大さが分かります。

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箱根ヶ崎駅を出ると埼玉県に入り、金子駅からしばらく進むと、入間川を渡ります。

この鉄橋はずいぶん高い所に位置し、遠くの山々まで見えます。

西武池袋線と接続する東飯能駅を過ぎると、丘陵地帯の林の中を走ります。

そして、ここは1947年(昭和22年)2月に列車転覆事故が起き、およそ184名の死者と495名の負傷者を出しました。

新人運転士の経験不足によるスピード超過や定員を超える乗客数によって、カーブを曲がり切れず、6両のうち後部4両が脱線し、高さ5mの土手から転落したそうです。

それから60年後に福知山線でも似たような事故が起きるとは、皮肉なものですね。

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14時55分、高麗川駅到着。

私が乗った列車は、この先川越線へ入り、川越駅に行きますので、高崎方面はここで乗り換えです。

次の列車が15時45分としばらく時間があるので、改札の外へ行くことにしました。

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風が強く、陽がだいぶ傾いてきたこともあって、肌寒くなってきました。

駅前通りを真っ直ぐ400m程歩いた先に、2階建ての「ファミリー丸広」があり、そこで腹ごしらえにチャーハンを食べました。

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さらにお店から道路を挟んで向かい側の駐車場の一角に、焼き鳥店がありました。

看板にある東松山市は、ここ埼玉県日高市よりおよそ15km北北東に位置する街で、実は焼き鳥が有名な場所です。

1962年(昭和37年)に世界で初めて焼き鳥組合が発足するほどですから、地元では根強く支持されています。

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私は特選かしら肉とぼんじり串を注文しました。

脂ののったお肉だけだと少々ゴテゴテ感があるが、辛めの味噌と一緒に食べることで、唐辛子の辛さが引き立ってさっぱりとした味になります。

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周辺は人気がなく、車が往来するだけでまちの静寂の雰囲気を漂わせています。





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再び高麗川駅に戻ります。

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高崎行き2両編成のディーゼル車がホームで待っていました。

ドア横のボタンを押して開けると、ボックスシートの窓側の席はすでに埋まっていました。

鉄道ファンらしき人達もいて、ファンに人気が高いことがうかがえます。

15時45分、ディーゼルエンジンを鳴らしながら走り出すと、川越線の線路は東へと別れ、八高線はそのまま北へと進みます。

日高川を渡り、林の中を突き抜けて毛呂山町へと入ると再びまちの様相が出てきて、毛呂駅に到着。

越生駅小川町駅はそれぞれ東武越生線東武東上線と接続します。

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この先は丘陵地帯の挟まれた田舎の風景が続き、そばにまだ雪が残っていました。

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折原駅を出て、寄居駅の手前で荒川を渡ります。

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秩父鉄道東武東上線との接続駅である寄居駅を過ぎると、今度は家が点在する他は何もない所を快走します。

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丹荘駅を過ぎ、神流川を渡ると、群馬県です。

群馬藤岡駅では高校生を中心にどっと車内に入ってきて、賑やかになりました。

車内を明るい雰囲気にさせるとは、さすが若者ですね。

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上越新幹線をくぐり、しばらくして列車の速度は落ち、やがて進行方向右手から高崎線が見えてきて、しかし八高線しかホームがない北藤岡駅に停車。

この先で列車は高崎線に入ります。

上下線が分かれ、烏川を渡ります。

それにしても八高線は川を渡るのと、他路線と接続する駅が多いですね。





17時11分、高崎駅に到着。

陽が落ち込み、寒さが一層増してきました。

これで、今回の目的が果たされました。

あとは北陸新幹線で帰るだけです。(続く)