大井川鐡道井川線(長島ダム駅からアプトいちしろ駅にかけてのミステリートンネル)
今度はいちばん後ろ、つまり行きと同じ井川寄りの車両に乗りました。
その理由は、左カーブに差しかかると、前方の列車の様子が見えるからです。
赤い車体が、スイスのレーティッシュ鉄道を思わせますね。
尾盛駅で先ほど降りた男性観光客が乗るのかと思い、車掌さんがホームに降りて訊ねたみたいですが、結局、乗らないことになり、観光客を残して出発しました。
その後、奥大井湖上駅では、さっき降りて行った観光客一行が、周辺観光を終えたとみて、また乗ってきました。
11時13分、長島ダム駅に着き、私のいる最後尾には車掌がいなかったため、自分の手で扉を開けて降りました。
降りたのは、私1人だけです。
当駅からアプトいちしろ駅までは、ウォーキングコースが整備されています。
たいした距離でもないので、1駅散歩をすることにしました。
まずは下へ下へと降りて行きます。
舗装された道路が九十九折(つづらおり)になっていますが、階段を使ってショートカットします。
1段1段が急で、手すりにつかまらないと転倒しそうです。
大樽広場に着きました。
親水公園となっていて、トンボが飛び交っていました。
観光客は誰もおらず、休憩所には工事の人達4,5人が集まって、昼食をとりながら、こちらを物珍しそうに見ていました。
その広場の先に、ダムの放水口に架かるしぶき橋があって、たしかに水しぶきが飛んでいます。
放水口から大量の水が勢いよく放たれ、ゴオーーーーッと轟かせながら流れています。
茶色く濁っていて、あの水しぶきも濁流の馴れ果てなのかと思うと、通るのに少し躊躇しました。
出口に網がかかっていて、なんだ通れないのかと思ったら、「シカなど野生動物が入ってこないよう、通り抜けたら必ず閉めてください。」という注意書きが貼られていました。
長島ダムを見に行こうかと思いましたが、案内板には「徒歩15分」とあって、往復30分では列車に間に合わないかもと考え、止(よ)すことにしました。
ふれあい館や四季彩公園も、時間がありませんから(と思い)、そちらにも立ち寄りません。
(ミステリートンネルについて、事前に調べなかったために、この後、トンネルで苦労する羽目になります。)
というわけで、旧線の道へと直行します。
階段を降りると、旧線のトンネルがあり、これがミステリートンネルなのかと思いました。
中は明かりも点いていない真っ暗な所ですが、先にわずかな光があり、それを目指していけば怖くありません。
とはいえ、足元が暗くて見えませんから、ライトは必要です。
懐中電灯なんて持ってきてませんから、私はスマホのライトを点けてゆっくりと進みました。
上から滴がポタポタと落ちてきます。
トンネルを抜けたら、アプトいちしろキャンプ場に出ました。
この日の利用者は誰もおらず、閉まっているような状態でした。
これでミステリートンネルは終わりかと思いきや、さにあらず、またトンネルが現れました。
左に「遊歩道 ミステリートンネル」という案内板が立ち、今度こそ本物です。
しかも今度のトンネルは出口の光すら見えず、スマホのライトを点けても光具合が弱いですから、いよいよ心細くなります。
全長375mなんて大したことない距離だと思ってなめてたら、想像以上に長くて驚きました。
それでも一度入ってしまったからには引き返すのももったいなく、意地でも通ることにしました。
ライトも何も用意されてないって、どうなのよ。。。
・・・「ミステリートンネル」というぐらいですから、当然、ただの暗闇では済みません。
詳しく書くとネタが晒されて営業妨害になりますから控えますが、途中、いろいろな仕掛けが施されていて、最初に遭遇した時は、心臓が飛び出るかと思うほどびっくりしました。
それさえクリアできれば、あとは似たような仕掛けが出てくるだけですから、その点は主催者側も良心的というか、手加減したと言えるでしょう。
しかし、人為的な仕掛けはそれでいいとしても、自然の仕掛けは手加減なんて知りませんから、頭上で何かが「ギャーギャー」と飛び交っているのには閉口するばかりでした。
思った以上に長く、スリル満点な怖さを味わうことができ、下手なお化け屋敷よりもずっと濃密なものでした。
キャンプ場がありますから、それと肝試しのセットにすると、楽しい思い出(またはトラウマ)がつくれるかもしれません。
アプトいちしろ駅に無事たどり着きましたが、なんと予定していたより30分も早く来てしまいました。