東尋坊1(三国港駅~東尋坊)
線路が切れた所で県道7号線を渡れば、港に出ます。
港はちょうど九頭竜川の河口で、波は穏やかでした。
そのまま5分ぐらいで進むと、サンセットビーチに着きます。
さすがに海水客はいませんが、夕日が落ちる瞬間なんか、ロマンティックな雰囲気を演出してくれそうです。
陽射しがきつく、長居してられないので、すぐに上がってハンバーガー屋を探すことにしました。
ところが、海岸の道路沿いをいくら見回しても見つからず、いったいどういうことなのかと首をかしげました。
ひょっとしたら、つぶれてしまったのかもしれないし、私のおっちょこちょいのせいで見逃したのか分かりませんが、また引き返すのも面倒だから、諦めて東尋坊の方へ向かうことにしました。
サンセットビーチの先、県道7号線は自動車の分しか幅がないので、住宅街へ上る道を歩きます。
おしゃれな店も立っていて、まるでリゾート地のようです。
高台へ上がり、海沿いを見ると、険しい海岸線が続いていて、遠くに東尋坊タワーが立っています。
再び県道と合流した地点から、全長約4kmの「荒磯遊歩道」に入ります。
「死の淵より」の一節が取られ、冬の日本海の荒波や自身の生まれのことについて綴られています。
読んでて重々しい気持ちになりますが、私も同じ北陸在住で、冬のどんよりとした天気が続くのには気が滅入りますから、気持ちは分かります。
さて、荒磯遊歩道に入ると、松林に包まれた所を通ります。
左はすぐ海で、先ほどの穏やかな砂浜とは違って、荒々しい岩肌が見えてきます。
すべてが松林に覆われているわけではありませんが、空が広くなったり鬱蒼とした林の中に入ったりを繰り返します。
そのうち海側にはごつごつとした奇岩が見え、中には背の高いものもあります。
そのような景色が1kmほど続きます。
名前の由来は、平泉寺の暴僧「東尋坊」で、民衆に極悪非道の限りをつくしたこの僧をなんとかしようと、恋敵の真柄覚念(まがらかくねん)一行が東尋坊をそそのかして、この岩上で酒盛りを開き、すっかり泥酔した彼を海の下へ突き落したそうです。
その後、49日間は波が荒れ果てたらしいですが、それにしてもここから落ちればひとたまりもなく、自殺の名所としての悪評も立っています。
ただ、観光客は多く、のんびり写真を撮ったり、遊覧船に乗ったり、ワイワイおしゃべりしていたりしているのを見ると、日中というせいもあるのでしょうけど、とても自殺の名所とは思えませんでした。
だいぶ腹が減ったので、レストランやお土産屋が並んでいる所へ上がります。
この辺りの名物は基本的に海産物ゆえに、どれも高いものばかり。
かけそばとかもありましたが、わざわざここまで来たのに、どこでも食べられそうな安価なものは、さすがに食指が動きませんでした。
結局、1000円もするホタテ丼をいただきました。
大ぶりで焼きたてのホタテが2つご飯の上に乗っかっていて、それにわざびとマヨネーズ、たれ、刻みのりがかかっていました。
あとは味噌汁と漬物で、お腹が空いていたこともあり、あっという間に完食しました。
バスはまだ来そうにないので、もう少しだけ雄島方面へと歩いてみます。(続く)